全国小売酒販組合中央会(四十万隆会長)は5月21日、東京都目黒区の全国小売酒販会館で第56回通常総会を開催した。総会では厳しい環境に立たされている小売酒販業界の現状を踏まえ、不当廉売防止に向けた小売酒販業界の要望と、今後の組合組織の維持に向け、熱心な議論が交わされたほか、賦課金の減少による財務内容悪化の打開に向け審議が行われた。組合不信の大きな要因となっている酒販年金問題では、担当弁護士から訴訟の途中経過が報告されたほか、出席者からは関係者の責任を追及してほしい、との意見が出された。四十万会長は冒頭のあいさつで「行き過ぎた規制緩和が小売酒販業界をここまで疲弊させた。酒販業界の健全な発展という見地から、今後は見直しを要望していきたいし、公正な競争ができる環境づくりのために、法改正も視野に入れた運動を展開していきたい」と、今後の活動方針に理解を求めた。
総会は四十万会長のあいさつに続き、来賓の国税庁・牧田酒税課長が、4月に小売酒販業界が行った未成年飲酒防止の統一キャンペーンの成果を評価。一方で「小売中央会に対しては、組合運営について改善勧告を行ってきたが、現在でも改善が行われていないケースがある」と指摘。組合間で役員人事の兼務など、問題となっている部分の早期の改善を求めた。
続いて、担当弁護士による年金問題の経過報告が行われた後、議案審議に入り、平成20年度事業報告、同賦課金部門収支計算書、酒販年金精算に係わる資産・収支状況承認、平成21年度事業計画案、同収支予算案、借入金支払い期限延長・支払い金利引下げに伴う質権設定承認の件などの諸議案を審議した。
特に21年度収支予算案では、賦課金の減少に加え、借入金の返済で深刻な財政難に陥っている中央会運営の現状を踏まえ、大幅な緊縮予算が提示され、承認された。
質疑応答では組合組織維持について、宮崎県が「昨年行った酒シンポジウムでは、スーパーやCVS業界と接点を持った。こうした業界の組合加盟の可能性と組合加入のための助成」について質問したのに対し、四十万会長は「酒シンポジウムでは組織維持、社会的要請への対応の2点から、スーパー、CVSの2団体にも協力してもらった。今後加入に向けての条件づくりを行っていきたいという気持ちは持っている」と説明。
山形県からは、「多くの酒販店が生活できない現状をどう考えるのか」という指摘があったのに対し、四十万会長は「規制緩和が始まってからの10年間は、小売酒販業界にとって“失われた10年”ということができる。今回、こうした環境を打破するために、不当廉売に対する課徴金制度創設に向けて法案を提出。先日、無事衆議院を通過した。こうした法改正を含め、環境整備に今後も力を入れたい」と述べた。
山口県からは「うちの組合は財政難で、あと2年ももたない。行動計画のスピードをあげてほしい。存続に向けてモデルを提示するということだが、それはいつ示せるのか」。また佐賀県からも「うちの単組ではこれまで積立金を取り崩して運営してきたが、それも限界。今年に入って組合会館を売却した」と組合運営の窮状を訴える意見が出された。
四十万会長は「各地で組合運営が厳しくなっている事実は承知している。地域の問題をどんどん中央会に上げていただき、それについて一緒に考えていくようにしたい」と答弁。安部副会長は「組合合併について、まず真剣に話し合っていただきたい。それが難しければ、タバコや塩の組合と共同で運営していくことも一つの方法だ」と補足した。
質問者がこの答弁に納得しなかったのに対し、四十万会長は「組合加入者が増えないことが、各地で組合が疲弊する大きな要因になっている。酒販免許業者の、組合加入義務化の要望が強いが、行政はそれは無理だという見解だ。ただ、酒類業組合法がある限り、行政は組合加入の勧奨は行わなければならないはず。行政側も勧奨ならできるということなので、それぞれの地元で行政に対して、組合加入勧奨を強くはたらきかけてほしい」と、組織強化に向けて、各地域での行動を要請した。
また、厳しい中央会の財政状況を受けた、借入金支払い期限延長・支払い金利引下げに伴う質権設定承認の件では、事務局の島田統括部長が「現在のままでは中央会の資産はあと6年で底を打つ。そのため21年度の予算も大幅な減額予算とし、会議費なども一部は酒政連に振り分けることで行うことにした。また今後の組合運営で安定した資金を維持するため、全酒協の12億円、生協の2億3000万円の借入金に対し、現在不動産収入の7割を返済にあてているのを5割に減額し、さらに返済期限を36年から40年に延長。金利も1・1%から1%への引き下げを要望し、承認された」と説明した。