国税庁 平成19事務年度 酒類取引実態調査結果を発表

 国税庁は昨年12月19日、平成19事務年度における「酒類の取引状況等実態調査の結果」を公表した。その結果によると、国税庁が平成18年8月に制定・発出した「酒類に関する公正な取引のための指針」に則していない取り引きがある、と考えられた酒類販売場2031場のうち1953場が合理的な価格の設定をしておらず、調査対象場数の96%が総販売原価を下回る価格で販売している実態が明らかとなっており、国税庁の指針に基づく公正なルールに則していない取り引きが多数あると認められた。

 国税庁は酒類の公正な取引環境を整備するため平成4事務年度から酒類の取引状況などの実態調査を実施しており、これら調査に基づいて同庁の「酒類に関する公正な取引のための指針」(平成18年8月制定)に示された公正なルールに則していない取り引きが認められた場合には、合理的な価格設定を行うよう指導するなどで公正な取り引きに向けた酒類業者の自主的な取り組みを促している。平成19事務年度(平成19年7月~20年6月)における実態調査の結果は次のとおり。

  ■調査結果■

 (1)一般調査=市場に大きな影響を与える取引を行っている酒類業者に対して重点的に一般調査を実施したところ「指針」に示された公正なルールに則していない取り引きが多数認められた。取引上の主な問題は総販売原価を下回る価格で販売するなど「合理的な価格の設定をしていないと認められたもの」であり、2031場中1953場において認められた。そのほか、特定の取引先に対して合理的な理由のないリベートを支払うなど「取引先などの公正な取り扱いが行われていないと認められたもの」が130場、取引上優位にある者が取引先に対して一方的な要求を行うなど「公正な取引条件の設定がなされていないと認められたもの」が3場認められた。これら「指針」のルールに則していない取り引きを行っていた者に対しては「指針」を示してその趣旨を説明し、「指針」のルールに則した取り引きを行うよう改善指導を行った。

 (2)フォローアップ調査=これまで改善を指導した者のうち、再度、改善状況を確認する必要があると考えられた169場に対してフォローアップ調査を実施したところ、部分的な改善を含め93場において改善が認められた。一方で、部分的な改善が認められた者を含め、依然として「指針」のルールに則していない取り引きが認められた167場に対しては、改めて「指針」のルールに則した取り引きを行うよう指導を行った。

  ■調査の実施状況■

 平成19事務年度においては約22万場の酒類販売場などのうち、チラシ広告などの情報から「指針」に則していない取り引きがあると考えられた酒類販売場などに対する「一般調査」を2031場、改善を指導した者のうち、再度改善状況を確認する必要があると考えられた者に対する「フォローアップ調査」を129場(一般調査と併せて実施した40場を除く)、合計2160場を対象として、酒類の取引状況等実態調査を実施した。

  ■公正なルール■

 (1)合理的な価格の設定=①酒類の価格は一般的には(仕入価格<製造原価>+販売費・一般管理費など+利潤)になるはずであり、そうした価格設定が短期的にも中長期的にも合理的②酒類の特殊性に鑑みれば、顧客誘引のためのおとり商品として使用されることは不適正な取引慣行であり改善していくべき③ほかの商品の販売による利益その他の資金を投入しなければ困難な低価格を継続的に設定することによって、競争事業者の顧客を獲得するという手段は酒類の特殊性に鑑みても、ほかの商品と比べてそのような販売方法での弊害が大きいと考えられ、そのような不公正な取引慣行については改善していくべき④数量ベースでの国内市場の拡大が困難であることから、全事業者が適正生産を行うことが必要⑤経営基盤の安定を図りつつ消費者ニーズに応じた酒類を的確に供給していくためには、企業努力による業務効率化を反映した競争をしつつ、個別の取り引きにおいて適正な利潤を確保していくことが望まれる。

 (2)取引先などの公正な取り扱い=①酒類の価格差は取引数量の相違など正当なコスト差に基づく合理的なものであるべきで、理由なく取引先または販売地域によって差異を設けることは公正な取り扱いとはならない②取引価格やほかの取引条件などについて合理的な理由なく差別的な取り扱いをすることは価格形成を歪める大きな一因。

 (3)公正な取引条件の設定=大きな販売力を持つ者が取引上優越した地位にある場合に、自己の都合による返品、商品購入後における納入価格の値引きなどの要求を一方的に行う場合、またはこれらの要求に応じないことを理由として不利益な取り扱いをする場合には、公正な取引条件の設定が妨げられる。

 (4)透明かつ合理的なリベート類=リベート類には、いかなる形態であれ透明性(支払基準・支払時期などの明確化、取引先への事前開示)および合理性(支払基準が合理的に説明し得る)が必要。

(掲載日:2009年01月26日)

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