国税庁鑑定企画官室は平成19年度における清酒、単式蒸留焼酎、果実酒についての市販酒類の成分などを調査した結果をまとめた「全国市販酒類調査」の概要を発表した。それによると、清酒の一般酒の成分は、アルコール分は年々低下傾向にあったが、ここ数年はほぼ横ばいに推移する傾向が見え、前年をやや上回った。吟醸酒、純米酒、本醸造酒の特定名称酒では、アルコール分はいずれの特定名称酒でもここ数年ほぼ横ばいに推移してきたが、本醸造酒のアルコール分が大きく上昇した。
清酒の調査方法(サンプル抽出)は、各都道府県ごとに課税移出数量などを参考として、いくつかの清酒製造者の主力製品を中心に抽出した。全サンプル数は、一般酒401点、特定名称酒775点(吟醸酒301点、純米酒256点、本醸造酒218点)。清酒関係の調査結果は次のとおり。
<一般酒の成分など>
(1)アルコール度=年々低下傾向にあるが、今年度は前年度よりやや増加した。
(2)日本酒度=年々高くなる(辛口化)傾向にあるが、今年度は昨年並みとなった。都道府県別で日本酒度が比較的高い(辛口)のは、富山と高知で、逆に、比較的低い(甘口)のは、佐賀、長崎、大分。
(3)酸度=これまで年々低下傾向にあったものの、ここ数年微増しているが、今年度は昨年並みとなった。都道府県別で酸度が比較的高いのは、千葉、東京、神奈川、山梨、高知で、逆に、比較的低いのは、群馬、新潟、富山、福井、長崎。
(4)アミノ酸度=年々低下傾向にあるが、今年度は増大した。都道府県別でアミノ酸度が比較的高いのは、岩手、岐阜、島根、福岡、佐賀で、逆に、比較的低いのは、長野、三重、大阪、愛媛、宮崎。
(5)甘辛度・濃淡度=甘辛度と濃淡度は日本酒度と酸度から計算できる味の指標。都道府県別の甘辛度・濃淡度で、甘口タイプなのは、北海道、滋賀、長崎、大分、辛口タイプなのは、千葉、東京、神奈川、岐阜、鳥取、島根、香川、高知。また、濃醇タイプなのは、千葉、東京、神奈川、山梨、愛知、佐賀、淡麗タイプなのは、山形、群馬、新潟、富山、福井、静岡、長崎。
<特定名称酒の成分など>
(1)アルコール度=アルコール分はいずれの特定名称酒でもここ数年ほぼ横ばいに推移してきたが、本醸造酒のアルコール分が大きく上昇した。
(2)日本酒度=一般酒に比べると、いずれの特定名称酒でも高くなっていた。経年変化でも上昇傾向にあるが、吟醸酒および純米酒ではここ数年横ばいに推移している。一方、本醸造酒は依然として上昇を続けている。
(3)酸度=一般酒と比べると、吟醸酒と本醸造酒はあまり変わらないが、純米酒はやや高くなっていた。経年変化でも同様の傾向を示している。
(4)アミノ酸度=一般酒と比べると、吟醸酒と本醸造酒はあまり変わらないが、純米酒はやや高くなっていた。経年変化でも常に純米酒のアミノ酸度が最も高いことは変わらないが、吟醸酒のアミノ酸度が横ばいであるのに対し、純米酒、本醸造酒とも減少傾向が続いている。ただし、本年度は本醸造酒のアミノ酸度はわずかに上昇した。
(5)甘辛・濃淡度=一般酒に比べると、いずれの特定名称酒でも低く辛口であり、特に純米酒の辛口傾向が強いものになっている。濃淡度は一般酒と比較すると、いずれの特定名称酒でも高く濃醇であり、特に純米酒の濃醇傾向が強いものとなっている。
(6)吟醸酒の香気成分=吟醸酒は果実を連想させる芳香が特徴であるため、市販酒類調査において香気成分の分析を実施している。香気成分の経年変化を見ると、バナナ様の芳香がある酢酸イソアミルが平成8年と平成12年に大きく低下した以外はほぼ横ばいに推移してきたが、本年度は昨年度に引き続きやや減少した。また、リンゴ様の芳香があるカプロン酸エチルは年々増加する傾向にある。
<容器の容量と種類>
容器と容量の種類はその酒のイメージに影響するもので、一般酒と特定名称酒とで違いがある。容器の容量については、1・8l容器が大部分を占めていたが、吟醸酒では720ml容器が3割程度を占めていた。容器の種類については、吟醸酒と純米酒では緑色びんがほぼ半数を占めていたが、本醸造酒と一般酒では茶色びんがほとんどで、一般酒では紙パックも見られた。
<単式蒸留焼酎の成分>
(1)アルコール度=泡盛において高い値を、また酸度は甘藷焼酎において高い値を示した。TAB値は、単式蒸留焼酎の香油の強さと相関する指標だが、泡盛では高い値を、米焼酎では低い値を示した。紫外部吸収は後留成分に多く含まれる香味成分であるフルフラール量と相関する指標値だが、米焼酎および麦焼酎において低い値を示した。なお、甘藷焼酎についてはメチルアルコールを分析しているが、これは甘藷などの皮に含まれるペクチンが分解されるとメチルアルコールが生成され、したがって甘藷焼酎にはメチルアルコールが比較的多く含まれる傾向があることから、分析したもの。
<果実酒の成分>
亜硫酸塩類(総亜硫酸)は赤ワインで低い値を、白ワインで高い値を示した。なお、赤ワインおよびその他の果実酒についてはメチルアルコールを分析しているが、これは果物の果皮に含まれているペクチンが分解されるとメチルアルコールが生成され、したがってこれらの果実酒はメチルアルコールが比較的多く含まれる傾向があることから、分析したもの。