【熊本】熊本の酒の販売に力を入れ、その魅力や価値を伝えようと県内の酒販店が連携し活動する「熊本の酒推進委員会」の設立総会が11月23日、熊本市の国際交流会館であった。同委員会は3年前から活動を開始し、県産の清酒と球磨焼酎を消費者にアピールする酒会を年1回企画。今年6月に主催した第3回“くまもとの日本酒・焼酎を楽しむ会~愛してます!くまもとの酒の夕べ~”は、熊本酒造組合・球磨焼酎酒造組合の後援、熊本小売酒販組合の協力を得て500人の来場を実現した。県内2社の蔵元と共同開発した会員限定流通の清酒「墨守」も販売中だが、継続した活動と会員の価値観共有のために、あらためて設立の会を催した。
同委員会の目的は、「熊本の伝統と風土が育んだ農産物(米に限る)を原料とする清酒(特定名称酒であること)や球磨焼酎が、熊本の誇る伝統文化の象徴であることを深く理解して、熊本の酒文化の向上に寄与し、郷土・熊本の人々に旨さを末永く伝えていく。そのような酒を酒蔵とともに造り、流通し、販売する」--というもの。旧来の組合組織をベースにしたり、蔵元主導の限定流通組織とは異なり、目的の達成を目指す酒販店が集うもので、全国でもめずらしい。
現在の加盟酒販店は42店。総会では理事を選任し、互選により会長には田尻幸史氏(熊本市「たちばな酒店」代表)が選出された。田尻会長は「遠慮なく本音でぶつからないと、長くは続かない。目標までいったら、周りを見て助け合うことも大切」だと訴えた。入会要件の第一には「酒屋が大好きで、これからも続けたいと考えている店」とある。同氏には「まともに造り、まともに売る」との持論があり、そのための循環をはぐくんでいきたいとの思いが強い。弱肉強食・弱者淘汰のうねりのなかで、共生の意識も求める。「会員の酒屋さんのなかには、早朝に牛乳配達をしてでも、酒屋さんをしたいという人がいる。そんな店にこそ本当に、酒屋を続けてほしいと思う」と言葉に熱を込めた。
閉会後には弊紙九州支局長の上籠竜一が講演。地酒専門店は進化していないとして、日本酒の地酒ブームから焼酎ブームに至るまで、銘柄提供を主要なサービスとし、消費者が地酒を楽しむ世界を広げることへは大きなエネルギーが注がれていないと異論を呈した。ブームで浮揚したのは、消費基盤を都市に持つ全国流通のナショナル・ブランドの“地酒”で、地元で愛飲される“地の酒”は衰退したとも指摘。“地の酒”育成の取り組みが、酒販店の固有価値ともなる可能性を示唆した。