球磨焼酎酒造組合 対話も重ね魅力発信

 東京市場で、球磨焼酎ブランドの認知度向上や普及浸透、需要の開拓や創出にまでつなげる布石となる試飲会は、11月12日と13日、対象や狙いを変えて行われた。

 12日“球磨焼酎・テイスティング会”では会場を、流通関係者用と飲食店関係者用のフロアに分け実施。前者に12蔵が28種、後者に異なる11蔵が31種、計23蔵が59種の商品を出展し、両フロアに酒造組合加盟全社、28社の代表銘柄28商品がテイスティングできるコーナーを設けた。

 来場者は150人に及び、滞在時間の長さが目立った。すべての出展酒をもれなくテイスティングし、蔵元からの説明に熱心に耳を傾け、“未知”の球磨焼酎について質問を重ねた。球磨焼酎に合う食材として馬刺や馬肉の炭火焼など特産食材ブースも人気を集め、来場者からは、球磨焼酎と合わせて提案をしたいとの声も聞かれた。

 ショットバーで勤める女性は、「これまでゴツイ、キツイのイメージがあったが、本当にさまざまなタイプがあることに驚いた」との印象。卸会社の支店長は、「東京で売れている商品もあるが、それは特定のブランドが指名されているのであって、米焼酎とか球磨焼酎というくくりで支持されているわけではない」と、産地ブランドの浸透には大きな壁があると指摘。酒質としては、「軽くても、甘さを感じるもの」が求められているとした。

 球磨焼酎の魅力、その潜在力を確信しているという小売専門店の店主は、泡盛の情報発信でも有名な人物だ。「ワインで言えば、泡盛はフルボディーのボルドータイプ、球磨焼酎はキレイな旨みがあるブルゴーニュタイプ。いわば日本酒の大吟醸酒を濃くした感じの焼酎」だと評し、米本来の旨みを引き出す常圧蒸留・熟成タイプの商品に期待を寄せた。「蔵元はもっと情報発信する意思を持ってほしい」ともアドバイスした。

 小売店の若手は、市場で球磨焼酎のカバー率が低いことを逆手に、先発後発の差異はなく、販売強化することで差別化につながると語った。

  ◇  ◇  ◇

 13日、各界で発言力、影響力のある県人が700人も参集した東京熊本県人会の総会。懇親を深めるパーティー会場には、28社ほぼ全社がそろった。当日はその他県産品の出展もあったが、会場内での出展は球磨焼酎のみで異例の扱い。県人の特段の配慮のなかで、球磨焼酎の今を伝え、アピールを重ねた。同会には熊本県産清酒メーカー2社も出展。事故米被害社へは、多くの県人から応援の言葉がかけられていた。

 県人の柔道・金メダリスト、内柴選手に対しては、県や県人会から栄誉をたたえる表彰が行われたあと、酒造組合林理事長が“球磨焼酎大使”に任命。思いもかけなかった任命を素直に喜び、郷土への思いや将来的には地元柔道界の発展に尽くす志を熱く語った。

 大使は、球磨焼酎ブランドの普及浸透に努めてもらうよう、酒造組合が任命しているもので、内柴選手で15人目となる。

 球磨焼酎出展者の代表としてあいさつに立った酒造組合・高橋昌也青年部長は、「皆さんに自慢していただける焼酎にしていきたい。地域の発展、熊本の財政を支えていきたい」と訴え、会場は故郷の酒を応援しようという熱気に包まれた。

 ある蔵元関係者は、「意外と、球磨焼酎のことを知らない人も多かった」と会を振り返った。その分、「まとまって、28蔵の個性を実感いただいたことに大きな意義があった」。“初めの一歩”に過ぎないが、“大きな一歩”。球磨焼酎の百花繚乱の個性が花開く機会となった。

 高橋青年部長も、東京市場へのアプローチは緒についたばかりだと気を引き締めるが、「これだけ多くの蔵元が参加したことが、うれしい」と、大きな手応えもあったようだ。酒造組合関係者を含め、総勢30人の参加者からは、相手と対面し、自らの言葉で伝え、対話を重ねたことでしか得ることができない充実感も感じられた。

 両試飲会では詳細なアンケート回答も得た。集計し市場分析を進めながら、来年1月には同地でさらに、趣向を凝らしたイベントを催す計画だ。球磨焼酎にとっては、首都圏を含め多くの市場がいまだ未開拓で残されている。市場アプローチの成果は大きいと期待を込める。

(掲載日:2008年11月26日)

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