【松山】清酒・焼酎・地ビールなど多角化を図る水口酒造(松山市道後喜多町、水口義継社長)は、酒造りに使う新鮮でおいしい仕込み水を一般客の飲み水などとして販売する会員制度「道後にきたつ仕込み水蔵部」を9月下旬からスタートした。あわせて愛媛県ゆかりで酒にも縁が深い漂泊の俳人、種田山頭火をモチーフにした日本酒「一浴一杯」(720ml1050円)も発売すると発表した。
道後の名水「にきたつの仕込み水」を一般家庭向けに販売する制度は、年会費3千円で、水不足に悩む松山で喜ばれている。同社は明治28年創業から1世紀以上も絶えることなく湧き水に恵まれ、酒造りや製氷事業部の氷に使用してきたという。豊富な水量は毎時6tの湧き水で、水質検査を随時実施して安全性を確保。新鮮なため3日以内の使用を勧めている。
おいしい水を求める地元のヒトを中心に入会者も増加。営業時間内ならいつでも利用が可能で、顧客はペットボトルやポリ容器などを持参。発行されたオリジナル会員証を提示すればバルブが開かれ、自由に汲むことが出来る。入会時や更新時は同社オリジナル石けんと道後の湯など千円相当のプレゼントがあるため実質は年間2千円程度で、さらに同社敷地内にある売店「にきたつ蔵部」やレストラン「にきたつ庵」、地ビールレストラン「道後麦酒館」で現金支払いの場合5%割引の特典もある。
山頭火にちなんだ日本酒は、松山市のNPO法人「まつやま山頭火倶楽部」が発案し、道後と故人の関わりを表現しようと道後唯一の蔵元である水口酒造に依頼したという。松山で他界した山頭火は、昭和14年から同市御幸1丁目の一草案に住み、道後温泉で風呂上がりの一杯を楽しんだとされる。発売する「一浴一杯」は限定2千本で、庶民的な故人を偲んで普通酒に設定。10月11日に道後坊ちゃん広場で営まれる69回忌の法要でお披露目されるという。