本坊酒造が新本社披露 創業の志、継承

 【鹿児島】本坊酒造(鹿児島市南栄、本坊修社長)は6月25日、新本社の落成式典と祝賀会を催した。旧本社(鹿児島市住吉町1-5)を、同社鹿児島工場(同市南栄3-27)の敷地内へ新築移転、併せ手造り焼酎蔵「薩摩郷中蔵(さつまごじゅうぐら)」と蔵元ガイダンス施設「GALLERIA HOMBO(ガレリア ホンボウ)」を新設したもの。本格的に焼酎造りに取り組んだ明治42年から数えると、今年7月1日から始まる新事業年度で100年という節目を迎えるにあたり、「地域文化の継承と革新、地域に根ざし、地域の資源を活用し歴史・文化・人・技術の響和をもって、独自の“本坊クオリティー”を追求する」経営理念、創業の志を継承していく決意をあらためて示した。

 同社は平成18年6月、本社移転プロジェクトを発足。これまで分離独立していた本社を鹿児島工場の敷地内へ移転することで、本社機能を製造・出荷の現場と一体化させ、「お客様へのスピーディな対応、業務の品質向上、合理化」(同社)を目指した。すでに今年4月1日、本社受注センターが稼働し、全事業所の受発注請求業務を統合。5月26日には新本社での業務を開始している。従来からあった手造り蔵見学・売店施設の一新も課題だった。「観光売店からの脱皮、酒の造り手の情報発信の場として強化した」(同社本坊和人専務)。新施設を含む本社は鉄骨2階建て、延べ床面積1368㎡、建築面積711㎡。総工費は約3億5000万円。

 同社創業の地は津貫(現・鹿児島県南さつま市加世田津貫)。明治5年(1872年)の創業以来、今年で136年の歴史を刻む。明治42年28石だった焼酎の製造量はいま、4万7000石にまで成長している。落成式典で同社本坊社長は、「諸先輩が築いた伝統、信用を社員一丸となって守り、後輩にその汗にまみれた襷(たすき)を渡すのがわれわれの役目だと心得ている」と決意の言葉。「GALLERIA HOMBO」については、「当社の造りに対する熱い想いを知っていただく発信源の役割を担う重要な施設」だと位置づけた。

 焼酎を取り巻く環境が大きく変化するなかでの新たな船出となるが、同社本坊専務は、「本坊酒造の考え方は何も変わらない。酒は農産物加工品であり、特に地域の農産物を加工する業者としての原点にもどる機会としたい」と語り、“本坊クオリティー”の根幹を成すものに触れた。

 なお同社は、本社移転を機にシンボルマークを制定。ロゴマークには昭和34年、鹿児島市内に設けた旧本社の玄関にあった社名銘板文字を使用。銘板に込められた“本坊スピリッツ”を引き継ぐ想いを込めた。

 新本社社屋は、漆喰の白壁で仕込み蔵をイメージ。「薩摩郷中蔵」は、明治維新の原動力となった薩摩独特の郷中教育にちなみ命名。焼酎造りの本質を継承する、若い蔵人の研さんの場であり、サツマイモ収穫の9月から12月にかけては薩摩芋焼酎の仕込み風景を目の当たりにすることができる。

 「GALLERIA HOMBO」は、ゆったりと寛げるギャラリー空間。農産物加工の観点から、焼酎に限らずワインの醸造にまで事業を広げる同社の6製造拠点(「薩摩郷中蔵」、「星舎蔵(ほしやぐら=梅酒仕込み蔵)」<鹿児島県鹿児島市>、「津貫貴匠蔵」<同県南さつま市>、「知覧蒸留所」<同県南九州市知覧町>、「屋久島伝承蔵」<同県熊毛郡屋久島町>、「山梨マルスワイナリー」<山梨県笛吹市>、「信州ファクトリー」<長野県上伊那郡宮田村>)で生まれる酒の魅力に触れることができる。  同社の造りの歴史を物語る蒸留機や錫(すず)蛇管のオブジェは圧巻。同社の歴史を伝えるスペースもあり、造りへの想いをハイビジョン映像で紹介するスペースは壁面を、同社の焼酎やワイン、ウイスキーの市販商品ラベル542枚でデザインした。

 同社は7月下旬、記念商品「別撰熟成『桜島』」を発売予定。鹿児島県南薩摩産のサツマイモ、黄金千貫(こがねせんがん)を原料に、黒麹で仕込み、同社独自の錫蛇管を用いて蒸留した芋焼酎と、原酒の中から厳選の貯蔵熟成・芋焼酎をブレンドしたもの。

(掲載日:2008年07月04日)

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