酒販年金事件、晴れない闇 救われない2万2600人の被害者

 酒販年金事件に絡む刑事訴訟被告人、関秀雄(元・小売中央会事務局長)が東京地裁判決を不服とした東京高裁への控訴は、5月20日の公判即日、棄却となった。地裁での審理を傍聴し続け、証人としても出廷した「福岡県酒販年金被害者の会」代表の大島和加丸氏。起訴の根拠となる捜査を、被告以外の責任追及を避けた“ねつ造”だと批判し、真相究明とはほど遠い事件の闇を指摘してきた。多くの関与者が責任追及を免れる一方、2万2600人の被害者が救われない現実。不正投資への関与を問われ実質解任された中央会藤田会長に代わり、難局での組合運営をゆだねられた四十万新会長に対してもその“適格”を問い、疑惑を払しょくする説明を求めている。

 以下は同氏から本紙ヘ寄せられた、高裁公判に先立ち同氏が担当検事に宛てた意見陳述要望書(公判で陳述の機会はなかった)と、四十万新会長へ事件の真相究明を求める文書である。ともに、年金被害者が救済されないまま、事件が幕引きされることへ強い怒りがにじむ。

  ◇  ◇  ◇

<意見陳述要望書>(平成20年5月19日付、東京高等検察庁検察官検事・壬生隆明宛て、全文<一部補足説明付記>)

 平成20年5月20日午前11時00分、関秀雄に対する業務上横領等被告事件(事件番号・平成19年(う)第2861号)の公判で下記のとおり意見を述べたいと思います。

 関被告は1億数千万円のリベートを目的に、この投資に関わった訳ではない。一人でできることでもなく、何処かへ逃げていた訳でもない。この投資は成功すると信じていたようだ。

 第一審の捜査、裁判は詰めが甘い。何よりも大きな問題点は、年金懇談会、年金運営委員会の存在を無視したことだ。これは明らかに、砂古(金融ブローカー)・日下部(銀行員)による詐欺事件である。

 背任事件「144億円」判決は、「組織維持の為、安易に年金制度の維持存続を図り、関に丸投げした」責任を指摘しており、裁判所の指摘のとおり、理事会・総会に諮らずに制度維持を決め、財政事情の難しさを放置した年金懇談会、年金運営委員会に重大な責任があると思います。

 私が告発状に添付した甲8号証(年金施策の決定に関わる組織や人物、その役割や決定までの流れを示したフローチャート)、27号証~32号証(年金懇談会・年金運営委員会議事録)による厳正な捜査は行われていません。なくなったのは、(関へのリベートの)1億3800万円ではなく、144億円です。破綻していた制度を解散しなかったことが事件の第一の原因であり、議事録などの証拠を無視せず、きちんと調査し責任者を処分し、年金被害者2万2600人の救済へ道が開けることを望みます。

  ◇  ◇  ◇

<四十万新会長へ問い>(抜粋)

 貴殿は、酒販年金回収調査委員長を務めてきました。

 平成18年1月19日の臨時総会で、前・藤田会長が信託契約ではなかったと告白するまでの3年間、誰の意志で、信託契約だと組合員を欺もうし続けてきたのか。真実を述べていただきたい。

 17年11月8日、警視庁が中央会に強制捜査に入った時の容疑は、共同謀議でした。5回の年金懇談会、1回の年金運営委員会が疑惑の中心だったことは疑いの余地がない。貴殿はこの問題点をむしろ、隠ぺいし続けてきました。ゆえに貴殿は、会長不適格者です。

 16年5月20日の総会では、年金廃止に伴う掛金85%分割返還を決議したものの、翌17年8月4日臨時総会でその分割返還の中止案が出されました。併せて、返還中止後の経過措置等の対応案として、民事・刑事的責任追及のための委員会の設立が提案され、私もその委員として指名されました。

 私は委員を受けるかどうかの回答を保留し、まず委員として果たすべき責任について考え、中央会執行部を含む責任追及対象者をまとめ、その考えへの賛同者の同意書を取ることにしました。関一人に罪を被せ、真相をうやむやにするようなレールには乗せられたくなかったからです。全国15県から同意を得た時点で、訴訟委員の受諾を申し出、その旨、貴殿にも電話しました。貴殿は、三役があなたの行動を嫌っているとのことで、私の委員会への参加を拒否しました。私は致し方なく、同意者の支持のもと刑事告発に踏み切ったのです。中央会には会長をも告発する決断はできなかったと思います。

 平成17年6月7日、藤田執行部がスタートした直後の同月10日、国税庁大武健一郎長官に、藤田会長名で、業務是正命令(同年3月11日)、運営改善勧告(同年4月4日)に対する報告書が出されました。年金回収調査委員会が行った調査結果と確認事実として、次のような報告がなされています。

 契約については、外債提供者であった砂古から、受け入れ信託銀行の依頼に困っていた中央会に対し、クレディ・スイス銀行を債券購入とセットで紹介され、その内容を吉竹専務理事(当時)に報告して、年金委員長等の了解を得て、関事務局長へ指示を出し、平成14年12月20日、関事務局長が北海道にいる吉竹専務理事と電話連絡の上、砂古、クレディ・スイス銀行日下部、関事務局長、平野経理部長が同席し契約を交わした。

 その14年12月と、15年1月29日付の二つの契約書については、15年の新年を迎えクレディ・スイスのトラスト・アグリーメントの様式が改定されたことから、クレディ・スイス側からあらためて契約書に押印を依頼したものであり、新たに免責事項が加えられたものではないと言明している。この報告は何で確認したのか。国税庁も騙したことになるのではありませんか。

(掲載日:2008年07月10日)

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