【福岡】夜の談話室で、魔女の涙を知るつどい--。何も秘密めいた集会ではない。“夜の談話室”は、西福岡酒販協同組合(福岡市早良区百道、髙田利治理事長)が、組合員の経営活性化につながる研修会や試飲会などを行うため、その会場として組合会館を夜間開放している勉強の場。「魔女の涙」は、組合PB(プライベート・ブランド)の芋焼酎。その醸造元・すき酒造(宮崎県小林市須木)の内嶋光雄杜氏を招き、蔵元の焼酎を試飲する勉強会が5月25日、開かれた。
当日の参加者は15人。鹿児島県・屋久島の蔵元で勤務の後、1年半前に帰郷しすき酒造の杜氏となった内嶋さんは、黒瀬杜氏伝承の造りの技を備えた名杜氏として知られる。同氏は昭和54年、宮崎県の蔵元に入社。以来、鹿児島県の杜氏集団・黒瀬杜氏の下で麹造りの技を修得。同県で初めて市販された黒麹仕込みの芋焼酎は、同氏の手によるものだったという。
勉強会では自身の“手麹”(手造り麹)について詳しく語った。「人が麹を混ぜるときに微妙な雑菌が付く。雑菌が付くことで、杜氏個々のフレーバーと味が生まれる」と、手麹にこだわる同氏。白麹が黒麹から生まれたことなど、麹の変遷についての話も続けた。「焼酎造りは雑菌との戦い。杜氏=掃除」とも語り、造りの現場での心構えも示した。
「魔女の涙」は2006年7月に販売を開始。組合にとっては、日本酒「宮響」(製造元・朝凪酒造=福岡県久留米市)に続くPB第2弾で、現在、黒麹焼酎と白麹焼酎をブレンドしたアルコール度数25度の商品と、36度原酒の2種を販売している。取扱いの組合員は約50店。会では蔵元が新たな商品として、国産米・黒麹仕込みの芋焼酎を提案、試飲を重ねた。
今回、会を催した主旨について、同組販売促進協議会・時吉光德さんは、「名杜氏から直接、芋焼酎の醸造工程などを学び、味を確かめ、自分自身で習得することで、受け売りではない、自分の言葉で『魔女の涙』を説明できる。言葉はきっと、お客さんの心に響くはずだ」と語る。ラベルは時吉さん自ら筆をとり仕上げたものでもある。自分たちのために焼酎を造ってくれている蔵元の労苦に報いるよう、販売に一層弾みをつけたいとの思いが強い。