【福岡】酒販年金事件の被害者に現況を説明する会が4月6日、福岡市中央区の福岡小売酒販組合であった。小売中央会の元事務局長・関被告への東京地裁実刑判決によっても、何ら救済の道が開けない被害者に対し、あらためて年金事件の問題を指摘し、被害者同士が連携を強め、粘り強く責任追及と救済を求めるよう訴えるもの。事件の幕引きムードが強まるなか、事件が終わってはいないことを主張する場ともなった。
主催したのは、「福岡県酒販年金被害者の会」代表の大島和加丸氏(元・全国小売酒販組合中央会北九州支部長、元・福岡県小売酒販組合連合会会長)。同会発起の浅川吉允氏(現・県小売酒販連理事、福岡小売酒販組合理事長)も同席した。
大島氏は、事件への強制捜査の端緒となった刑事告発人。現在、東京地裁に対し、福岡や鹿児島、東京の被害者194人を原告団としてまとめ、事件に関与した金融ブローカーや銀行員を詐欺罪に問い、中央会関与者の責任も追及する、新たな刑事告訴を提起している。関被告の公判では証人尋問に立ち、関被告一人が起こした事件ではないことを訴えた。
当日の説明会には地元の被害者が出席。大島氏は関被告の東京高裁への上告提訴が昨年10月に認められ、今年5月20日に公判が始まる予定を報告。新たな刑事告訴が受理されず、保留のままの状態が続いていることに対しては、「事件性があるから返せない。受理しないこと自体が異常だ」と語った。
政治家秘書が絡み、官僚の恩恵享受も疑われている年金事件。「144億円もだまし取られた詐欺事件を、どうしてマスコミは取り上げないのか」として、「報道管制が敷かれているのではないか」との疑念も示した。
大島氏は事件について、「ねつ造捜査だ」と断言。自身の刑事告発を捜査着手の端緒としながら、年金運営委員会委員などを含め中央会関与者の責任を問う告発の訴えを無視し、関一人への断罪で事件を終結させる結論ありきで捜査が進められたことを批判。
また、中央会が被害者から民事提訴される、対立の構図も異常だと指摘。自己責任論で対抗し、被害者救済に動かない中央会や地方組合に対して、「酒販年金は、老後の生活資金にと、中央会が国税庁の指導の下に立ち上げた福利厚生事業。しかも2万2600人、組合員の4分の1が被害者になっている」として責任ある対応を求めた。
事業が破たん状態に陥るなか、幹事銀行の解散勧告に従えば、被害はなかった、とも。詐欺を誘発する要因となった事業継続に決定的な役割を果たしたとして、当時の年金運営委員で現中央会会長・藤田氏の重大な責任を指摘。事件関与者が会長を務める異常な組織だから、保身のために、刑事提訴もできないし、被害者救済にも動けないと訴えた。
「143億9000万円が、本当に外国に投資されたかどうかはわからないという、中央会の公式文書もある。明らかに詐欺であり、訴えられないのは、仲間だからだ」とも。暴走にブレーキをかけるべき役割を果たさなかった顧問弁護士の責任も問うた。
今回の説明会は、奇しくも、平成17年3月、国税庁が中央会に対し業務是正命令を、4月に運営改善勧告を発出してから3年を経過して、同年11月の強制捜査からは2年5カ月の歳月を経て開かれたことになるが、被害者は救済されるどころか、取り巻く環境はむしろ悪化している。孤立を余儀なくされ、絶望とあきらめのなかにある。
障害を持つ子供のためにと、掛け金を積んできた人。高齢な親の介護と自身の生活に窮する人。受給されるはずだった期日が、過ぎれば過ぎるほど加入者は高齢化し生活困窮の淵に落とされる。
説明会に出席した男性によると、裁判費用はかさむから提訴にはかかわらない方がいい、というような被害者の対抗措置や結束を妨げる声も大きくなっているという。そのなかで、「責任を追及したり、掛け金を取り戻すなんて、できっこないとあきらめている」。
「刑事訴訟なら費用はかからない。訴えることは被害者の権利であり、一つの組織としてまとまらなければならない」と呼びかける大島氏に対し男性は、「被害者同士の連携を働きかけ、90%のあきらめムードを変えていきたい」と応えた。
説明会は、4月13日、北九州市でも開かれる。