とどろき酒店が企画 全国19の蔵元、250人来場の熱気

  【福岡】日本酒が美味しい理由--。造り手と会ってもらえれば、そのわけが分かる。そんな投げかけがテーマの酒会が4月13日、福岡市内のホテルであった。主催したのは、“全国銘酒と自然派ワイン”の専門店「とどろき酒店」(福岡市博多区三筑2-2-31、轟木行男代表)で、全国19の蔵元(うち1社ワイン醸造)が出展。飲食店関係者や一般消費者ら約250人の来場者でうまった会場には、“美味い日本酒”との出会いの輪が深く幾重にも広がり、熱気に包まれた。

 酒会は有料立食で、来場者が蔵元の出展ブースをめぐるスタイル。出展蔵はすべて同店一押しの、いわば“とどろきブランド”だが、これまでまとまった形での酒会を催す機会がなく、九州の酒会には初登場という蔵元もあった。こうした酒会の開催は、飲食店も求めていたという。当初予定の定員200人分は即完売。申し込みが絶えなかったが、会場の許容いっぱいの追加、250人でとどめた。当日来場した飲食店主は、「同店が企画したこれまでの酒会とは、出展蔵が異なり新鮮。ワクワク楽しみにして来ました」と声を弾ませた。

 同店轟木代表(63)は、「焼酎がピークを過ぎ安定期に入り、その間に和のリキュールも出てきたが、日本酒に目を向けてほしいという思いがある。こんなに美味しい酒があるのに、飲み知る機会がない。そのために、美味しいお酒でも売れないことがある。蔵元さんにはアピールのチャンスにしてほしい」と、酒会開催の主旨を語る。開場に際しては、「最高レベルの酒をたくさん出品してくれているので、いろいろと酒談議もいただきたい」と訴えた。

 今回19の蔵元が出品した酒は86種類。個性は酒だけでなく、蔵元の人柄にもにじむ。贔屓(ひいき)筋の蔵元がある飲食店。それにコアなファン。もちろん、新たな出会いにも胸が高鳴る。密度の濃い対話の熱風が、あちこちに起こる。造りへの熱い思いがほとばしる。飲み進むうちに、価格以上の酒質レベルの高さに驚く。飲食店関係者はいかに管理し、いかに料理と合わせ、いかに提供しているのかを語る。美味しい酒を、美味しく飲んでもらいたい、その温かな思いに触れ、造り手は有り難いと思う。一般消費者は日々の愛飲を語り、蔵元との出会いに興奮しきりの様子。

 今回の企画を任された同店店長の轟木渡さん(35)は、「日本酒が美味しいのは、伝統に磨きをかける蔵や、次世代の若い醸造家の出現によって日々進化しているから。こんな人が一所懸命に造っているから美味しいんだということを知ってほしかった」と語る。日本酒蔵のなかにある、ただ1社のワイン醸造場は、「和に合う、山梨の地酒」という位置づけで出展を依頼したという。

 実際、日々の商いのなかでは、日本酒への風も感じている。飲食店からの、「ちゃんとした品揃えで日本酒を勧めていきたい」との声も高まっているし、同店での日本酒の売り上げは伸び続け、手応えは日ごとに強くなっているという。今秋には格段の上向きが期待できる。その下準備をしておく意味も、酒会にはあった。

 ある出展蔵は、「私どもと酒屋さんは運命共同体。車の両輪で、その片方の輪を一所懸命に回していただいていると感じ、本当にうれしいし、ここでいただく生の声はきっと、次の造りに活きる」と語る。酒会は、造り手と売り手、飲み手の絆を一層強める場のように見える。

 出展蔵は次のとおり。▽東一(あづまいち・五町田酒造/佐賀)▽醸し人九平次(かもしびとくへいじ・萬乗醸造/愛知)▽亀齢(きれい・亀齢酒造/広島)▽栗駒山(くりこまやま・千田酒造/宮城)▽独楽蔵(こまぐら・杜の蔵/福岡)▽五凛(ごりん・車多酒造/石川)▽雑賀(さいか・九重雑賀/和歌山)▽貴(たか・永山本家酒造場/山口)▽楯野川(たてのかわ・楯の川酒造/宮城)▽東洋美人(とうようびじん・澄川酒造場/山口)▽土佐しらぎく(とさしらぎく・仙頭酒造場/高知)▽庭のうぐいす(にわのうぐいす・山口酒造場/福岡)▽八海山(はっかいさん・八海山/新潟)▽美田(びでん・井上/福岡)▽飛露喜(ひろき・廣木酒造本店/福島)▽御湖鶴(みこつる・菱友醸造/福島)▽山形正宗(やまがたまさむね・水戸部酒造/山形)▽若竹屋(わかたけや・若竹屋酒造場/福岡)▽<ワイン>ARUGA BRANCA<アルガ ブランカ・勝沼醸造/山梨)

(掲載日:2008年04月24日)

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