【福岡】元気を出して、何でもやってみよう--。経営環境が厳しいからと意気消沈しているだけでは、明日は開けない。70年の歴史を刻む老舗の酒販店。今は「ペガサス」(大川市一木)の屋号で酒小売業を営む3代目、古賀幸生さん(42)は3月8、9の二日間、初めて店頭で日本酒の量り売りに挑戦した。その意気込みに応え、全面協力したのが県内の蔵元、朝凪酒造(久留米市)。同社は、酒蔵で使う大型タンクを店頭へ据え付ける独自スタイルで量り売りを展開中で、酒販店や百貨店などから“実演販売”の依頼が増えている。
販売の酒は本醸造「荒走り」。快晴に恵まれた初日、販売を始めるとすぐに、数人の女性が連れだって購入に訪れた。夫婦で商う酒屋。古賀さんの妻、久美さんがその明るい人柄でお客さんをつかみ、今回もすでに70本(1本720ml)の予約をとっていた。企画案内のチラシをつくったり、夫は配達の時などに声をかけたり、販促活動に力を入れてきた。7本もまとめ買いするお客さん。夫婦との会話も弾む。
古賀さんは苦境を認めるが、これからも酒屋で歩むと決めている。あきらめはない。「(量り売りで)店をアピールしたいし、日本酒を飲むお客さんを取り戻したい気持ちも大きい」。自らを奮い立たせるように、「微力でも酒屋で生きていきたい。酒屋全体が元気になってほしい」と語る。
蔵元の樋渡繁夫さん(62)は、「商売は受け身ではマイナス。微力だがお手伝いをすることで、小売店さんが元気になれば、うちも良くなる」。「一心同体だから」と言葉をつなぐ。売り手と造り手がパートナーとなって、日本酒を売り込む。