【広島】広島県内の蔵で働く杜氏や蔵人、経営者らを中心に、酒造技術の紹介や需要動向、業界情報などを提供する平成19年度「酒造講話会」が広島県立総合技術研究所食品工業技術センターで開催された。
今年は広島国税局鑑定官室の筒井謙之室長、食品工業技術センターの谷本昌太副主任研究員、賀茂鶴酒造の峠本忠義杜氏、県酒造組合の末成和夫技術顧問が講演。また、広島国際学院大学工学部の佐々木健教授による特別講演も開催された。
冒頭、県酒造組合の三宅清嗣会長は、「清酒だけではなく、アルコール離れは深刻だ。今の若い人たちはビールすら飲まなくなってきているのが現実で、メーカーも頭を痛めている。清酒業界がアプローチが下手だと言われているが、あれほどまでに宣伝費をつぎ込んでいるビールメーカーですらそういう状況。アルコール業界全体で需要の開発に努めていかなくてはいけない」と話した。
今年の酒造りについて話した賀茂鶴酒造の峠本杜氏は、「広島では酒造好適米の田植え時期を遅らせているため、入荷についても遅れている。品質は、8月~9月の高気温で高温障害の影響を受けている米がでているようだ。また、刈り取り期の天候が良すぎたためか、玄米や白米の水分が少なく、浸漬時の吸水速度が速い」と注意を呼びかけた。
名水博士としても知られる佐々木教授は、広島の水を「屋久島の縄文水や白神山地の名水と同じような水質で日本一の名水だと言える。しかし、広島の多くの人があまりにも身近すぎて日本一と認識していない人が多いようだ」とした上で、「灘の宮水は秋ばれすると言われるが、広島の酒はマンガンが少なく、軟水ぎみなため、変わりにくい。変質しにくい酒として、戦時中でも軍が使用したことで知られている」と特徴を語った。今後の酒造りについては、「もっと機能性、健康性を意識した日本酒を造ってみてはどうか。水が良いところで酒造りができるということは宝だ」とアドバイスを行った。