日本醸友会 平成19年度大阪支部講演会開催

 【神戸】日本醸友会大阪支部(山本忠行支部長・大関常務生産本部長)は11月6日、神戸酒心館で「平成19年度講演会」を開催した。

 今回のメインテーマは「日本酒の新たな発見」と題し、(独)酒類総合研究所醸造技術基盤研究部門副部門長の下飯仁氏が「酵母ゲノムの進展状況」、芝浦工業大学システム工学部教授の古川修氏が「世界で一番の日本酒」、大阪国税局鑑定官室室長の木曽邦明氏が「酒類業界への私見」、同主任鑑定官の近藤洋大氏が「新酒税法改正後の現状」、京都大学農学部教授の伏木亨氏が「日本酒のおいしさの科学」などいろいろな分野から見た日本酒をテーマに講演を行った。

 山本支部長は講演に先立って「今の若者は車と携帯にお金を使い、お酒を飲む余裕がない。この講演会をぜひ有意義なものにして欲しい」とあいさつした。

 古川氏はホンダの研究所での経験の中から「新しいものを生み出す上で一番重要なのは、好奇心を持つことだ。目標は不可能と思われるほど高く持ち、まずはやってみる。駄目ならなぜ駄目か考え、原理を考える源流主義になること」と述べた。また、日本酒がなぜ低迷しているか、若者・女性の日本酒離れについては①最初に飲んだ日本酒がまずかった②飲んだ日本酒が翌日残って嫌な思いをした--などの理由を挙げ、中年男性の日本酒離れについては①主婦が家庭料理を作ってくれず晩酌の習慣がなくなる②医者に健康のため焼酎に変えるよう勧められた③一升びんは自宅の冷蔵庫で保管できない④雑誌をにぎわす日本酒は高くて入手困難⑤料理屋でおいしい日本酒と出会わない--などの問題点を指摘。「健康についてもっとPRする。若者にはもっとうまい酒を飲ます。消費者が分かりやすい購入ガイドを作る。食中酒としての日本酒造り、ワインのように日本酒も熟成したものに価値をつける」などといったアドバイスをした。

 伏木氏は「日本酒のおいしさの科学」の講演の中、おいしさの種類を4項目あげた。①生理的なおいしさ…例えば疲れたら甘いものがおいしい、など体が要求しているもの②食文化のおいしさ…食べた経験のある・なしで決まる③情報のおいしさ…TVコマーシャルなどの情報で左右される④本能のおいしさ…本能を刺激する高栄養(脂肪・砂糖・ダシ)。本能のおいしさの説明として、小さい頃に食べる事で食の嗜好が変化することをあげた。現代人には日本酒と合わない欧米の食文化が浸透しており、日本酒を飲んでもらえない。しかし油に対抗できる鰹ダシのおいしさを覚えると、日本酒になくてはならない味覚を持つことができると説明した。最後に「和食の嗜好は日本酒の生き残りの鍵。幼児のころからダシのおいしさの刷り込みが、和食を好む人間を育てていく。伝統的なダシのおいしさを再び若い層の人達に刷り込む必要がある」と語った。

(掲載日:2007年11月20日)

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