全国小売酒販組合中央会 不当廉売に罰則強化を

 全国小売酒販組合中央会は平成20年度の小売酒販業団としての税制改正などの要望書を自民党税制調査会、財務省、国税庁などに強く訴求した。

 その中で、財政物資と酒類の特性を踏まえた小売業免許制度の法改正を要望し、不当廉売など酒類の不公正な取り引きに対する罰則の強化を独占禁止法の改正で強く願望している。要望内容は次のとおり。

 <酒類小売業免許について>

 (1)財政物資、かつ酒類の特性から社会的管理と市場価格安定に向けた法改正を要望する。

 (2)産業政策並びに財政政策からの酒類の販売規制と免許制度のあり方を勘案した酒類販売制度の構築を要望する。

 これらを要望する理由は次のとおり。

 酒類市場は累次の規制緩和によって販売場が増えているが、酒類の消費量や需要はほぼ一定であり、むしろ少子高齢化の中で減少の方向となっている。また、現行酒類小売業免許は人的要件のみの免許制度となっており、今後あらゆる業種・業態での酒類販売が拡大傾向となっている。

 このような環境の中、現行の酒税の保全を目的とする規制では、社会的な要請に十分に対応することは困難であり、酒類販売に係る行為規制を幅広く検討すべきとの意見があがっている。つまり、酒類小売業者は財政物資として酒税を円滑に確保するだけでなく、酒類の特性(致酔性・依存性を有すること、慢性影響による臓器障害、未成年者への心身への影響など)から経済、社会および健康に対する酒類の販売管理への取り組み政策が必要とされているからである。

 そのためには、酒類小売業者(免許人)は「酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律」による地域の小売酒販組合に加入することとし、社会的要請による販売管理と公平で公正なルール作りを図り、酒類の市場形態の安定と均整を保つ。そして、小売酒販組合は地域への社会的貢献を果たすための組合の維持、継続のため、組合の統合・合併による基盤を強化し組織再生のための法改正が必要であると考える。

 また、酒類小売業者は関連法令違反、並びに監督官庁からの指導に反した場合には、営業停止または免許取り消しなどの罰則の整備強化を図る。特に適正飲酒の普及の観点から、生産者は適正生産を踏まえることで、過度の販売を抑制し、酒類の特殊性から生じる多様な要請に応え得る合理的かつ妥当性のある価格設定の基準を明確にし、取り引きの安定政策を講じてほしい。

 諸外国の酒類小売業に係る販売規制は国・地域によりさまざまであるが、酒類を管理・規制することについては世界共通であることから、酒類を適正に販売するため、関係省庁と連携し関係法令を包含した、流通に対する「酒類販売管理に関する法律」の制定を望む。

 <酒類販売管理研修について>

 (1)酒類販売管理者などの酒類販売管理研修受講の義務化を要望する。

 (2)研修の選任講師ならびに、表示基準などの遵守を指導する監視員の法的機関からの配置任免を要望する。

 <酒類取引にかかる公正な取引環境の整備について>

 (1)独占禁止法上の「不公正な取引方法」に対する罰則強化などの改正を要望する。

 (2)国税庁の「酒類に関する公正な取引のための指針」と公正取引委員会が示す「酒類取引ガイドライン」を整理し、双方での不公正な取り引き者の行為粛清への取り組み強化を要望する。これらを要望する理由は次のとおり。

 内閣官房長官の私的懇談会である「独占禁止法基本問題懇談会」では、平成17年度より会合を重ね、今回独占禁止法の大幅改正の骨子がまとめられた。これらの改正については酒類業界における問題でなく、ほかの業界にも当てはまることであり、消費者政策に偏らず独占禁止政策も含めた法改正を望むものである。

 特に、不公正な取引方法である不当廉売、差別対価、優越的地位の乱用などといった違反行為に対して、十分に抑止力のある措置として「課徴金制度の導入」を要望する。また、不当廉売などにおける違反行為の認定要件の緩和から、複数回にわたる注意・警告を受けるような累犯的行為に対する強制指導や累積勧告措置などを講じてほしい。あわせて、制裁措置としての差し止め請求制度を広く活用できるよう事業者団体に「団体訴権」の導入を要望する。

 また、国税庁による平成17年度酒類の取引など実態調査においては、合理的な価格設定がされていない数値が95%を占めていた。

 昨年、国税庁が新たに発出した「酒類に関する公正な取引のための指針」(新指針)には顧客誘引のための「おとり商品」としない、的確な需給見通しに基づく適正生産、公正な取引条件の設定や透明かつ合理的なリベートの励行などが提示されている。この新指針に示された必要な行政指導にのっとった実態調査結果による、公正取引委員会が示す独占禁止法と「酒類取引ガイドライン」との関係を整合強化し、公取委と国税庁が連携した法体系の整備を要望する。

(掲載日:2007年10月29日)

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