【岡山】日本酒造組合中央会中国支部(宮下附一竜支部長)は、第57回中国5県きき酒競技会および第33回夏期酒造ゼミナールを8月23、24日の2日間にわたりメルパルク岡山で開催した。
8月23日に行われたきき酒競技会では、宮下支部長が開会式で、「暑い日が続き、体調維持が難しかったと思うが、もてる力を存分に発揮してきき酒に挑んでもらいたい」と選手たちを激励した。中国5県各7人づつの合計35人が参加し、熱心にきき酒に挑んだ。
同日に結果発表および表彰式も行われ、団体の部では第1位に広島県、第2位に山口県、第3位に岡山県、個人の部では第1位に原田康宏氏(山口県)、第2位に築谷真司氏(鳥取県)、第3位に丸山昌史氏(広島県)、第4位に福本雄吾氏(山口県)、第5位に福羅隆元氏(鳥取県)が選ばれた。
23、24日に開催した酒造ゼミでは、開催式の中で宮下支部長が「厳しさをます酒造業界の課題としては、コモディティ(競争商品間の差別化特性が失われ、価格あるいは量を判断基準に売買が行われるようになること。顧客は価格、買いやすさ以外に選択要因が無くなる)化からの脱却が挙げられる。技術水準が同一化し消費者に違いがわからないことが問題。コストを下げるのではなく、新しい価値を創造する方向に向かっていければと思う。過去の知識経験を生かし、酒造業界を価格競争のないブルーオーシャンにしよう」とあいさつした。
今回のゼミでは、民俗学者の神崎宣武氏が「節句と酒-『百薬の長』を再考-」と題し講演を行い「昨今の日本は“礼講”と“無礼講”の境界があいまいになってきていて、“無礼講”ばかりの世の中。節句を“礼講”の場とし、旬の料理とともに酒を演出することが大事ではないか。大人たちが率先して若い人たちに日本酒の楽しさを伝えていってほしい」と訴えた。
また、日本酒造組合中央会副会長の酒井佑氏は「日本酒業界の今後の展望」というテーマで講演を行い「日本酒だけでなく日本の良さをもっと浸透させていきたい。夜明け前は一番暗いというが、これから明るくなるチャンスを逃してはいけない」とし、平成18年度酒税改正については「いままで税源としての分類だったが、今回は文化としての側面から改正に踏み切った。米は100%の自給率で、酒は国家に対して役に立っている。清酒は税をもっと下げるべきだ」と語った。また、日本酒のPR方法として、「酒器などの関連商品のPRも重要。小さなヒットを積み重ね、われわれが日本酒の魅力を発信しなければならない。日本酒は昔から一升瓶を使用しているのでリサイクルの観点からもアピールできるのではないか」と提案した。
「これからの中小蔵はどう変化するか」と題し講演を行ったヤングマーケッティング研究所所長の武者英三氏は「“品質訴求型”と“価格訴求型”を一人の消費者がつかいわけている。蔵元は“品質訴求型”の消費者に訴えていかなくてはならないだろう。そのためには、酒類専門店・業務用酒販店・大型総合酒類専門店にどんどん新しい商品をアピールして商品を置いてもらうよう努力し、マーケットの多い所(首都圏、関西圏)を狙うようにしたい」と現在の市場を分析。これからの流れとしては「もうすでに蔵元と酒販店の直取引の時代が訪れているが、これからは主客融合市場の形成、すなわち消費者が商品開発をする時代になっていくだろう」とインターネットを利用した消費者と蔵元の関係を予見した。日本酒のアピールポイントとしては「異業種とつながって酒を売ることが重要。特産品、酒にあうつまみとコラボレーションし、展開していかなくてはならない。自社の酒にあうつまみがなけれ作ってしまえばいい。ほかの企業と一緒になって売り込むことが大切だ」と語った。
今回の酒造ゼミは中国5県の酒造場から132人が参加。てっぺん代表取締役の大島啓介氏が「どうすれば人は輝くのか」、また、上田酒類総合研究所所長の上田護国氏が「大吟醸酒造りの留意点」と題した講演も行われた。