公正取引委員会は平成11年度から各地域の経済実態などに精通した有識者150人を「独占禁止政策協力委員」に委嘱し、今年6月に全国9ブロックにおいて平成19年度の独占禁止政策協力委員会議を開催して各地域の産業界、流通市場の実態や競争政策、独占禁止法の運用、独占禁止法の改正などに対する意見、要望を聴取した。
その中で、酒類業界の競争実態、独占禁止法の見直しなどについて“1”大型酒販業者のビール安売りに中小小売店は苦悩しており、公正・正常な競争がされるよう取り組んでほしい“2”独占禁止法の改正に当たっては、不当廉売など不公正な取引方法は課徴金の対象とされたい“3”不当廉売などに対する公取委の措置は警告や注意が主だが、この措置では抑止力が低いため課徴金、罰則を適用して抑止力を強化されたい“4”大手量販店における優越的地位の濫用行為に対する是正を行ってほしい--などの対応を公取委に求める意見が多く出された。
酒類、食品などに関する主な意見、要望を集約すると▽独占禁止法改正関係=不公正な取引方法についても、カルテルと同様に課徴金などを導入して抑止力の強化を図ってほしい▽独占禁止法関係=農業協同組合の活動に関するガイドラインが公表されたが、農協は生産農家に対して強い立場にあるので、その活動をしっかり監視されたい▽中小企業問題・公正な取引慣行の促進関係=▽大型小売店のビール販売価格はメーカーから多くのリベートを得ているため、中小の小売店の仕入価格よりも安い状況がみられるので、公正な競争が行われるよう取り組んでほしい▽大規模小売業者による優越的地位の濫用行為は大分改善されているが、買いたたきなどの問題があるので積極的に取り組んでほしい▽不当表示の規制関係=健康にかかわる商品の成分や効能に関する不当表示には厳正に対処してもらいたい。
各ブロックでの独占禁止政策協力委員会議で出された主な意見、要望、提案は次のとおり。
<東北ブロック>内閣府における独占禁止法改正の検討状況をみると、公正な競争を阻害するおそれがあるとして、規制している不当廉売など不公正な取引方法に対し課徴金の対象とする方向だが、法改正においてはその定義、規定を根本的に見直すべきだ。また、一般指定を全体的に整理し直すことも必要だ。
<関東甲信越ブロック>大型酒販店のビールなどの販売価格が中小酒販業者より低い状況がみられるので、公正な価格競争をするよう対処してほしい。
これからは、品質が守られるような形で競争が行われるよう競争のルールに関する提言をされたい。
<近畿ブロック>現在検討が進められている独占禁止法の見直しに関して経済界が強く反対しているが、経済団体は一部の業界の利益に基づいた発言ではなく、大所高所に立った意見を言うべきだ。
食品分野でも原材料費が高騰しているが、大手スーパーは付加価値の上昇を伴う場合以外の単純な納入価格の引き上げには応じない。優越的地位の濫用防止の観点から、積極的な取り締まりを期待したい。
<中国ブロック>談合と同様に優越的地位の濫用など不公正取引を行いにくい状況にするためには、違反行為に対し一定の反則金を課すような方法が必要だ。
<四国ブロック>不当廉売などに対する公正取引委員会の措置は警告や注意が多いが、これらの措置では抑止力が低いとみられるので、課徴金や罰則を導入して抑止力の強化を図ってほしい。
<九州ブロック>大規模小売業者は中小小売業者にとって、到底太刀打ち出来ないような低価格での安売りを行っているが、そのような廉売ができるのは納入業者への不当な値引き要請などをしているからだ、という話を耳にするので、大規模小売業者による優越的地位の濫用に対する、公取委の厳正な対応を期待する。
都市の中心部と地方との地域格差や大企業と零細企業との間の経済力格差がある中で、すべてをひとまとめにして自由競争にさらすのではなく、格差を踏まえた上での公正な競争環境の整備が必要である。