【大阪】日本酒造組合中央会近畿支部と、近畿清酒青年協議会が人材育成を目的に行っている「近畿人材養成研修会」が7月20日、大阪市のホテルモントレ ラ・スール大阪で開催された。
今回から半日の日程で、日本酒造組合中央会会長・辰馬章夫氏の「中央会情勢報告」や、日興コーディアル証券国際部次長・大西史一氏を講師にむかえての「世界経済から見た日本の行く末」を題目とした講演、また新しい試みとして、「今後の日本酒業界について」をテーマにパネルディスカッションが行われ、時間は短いながらも内容の濃い研修会となった。
主催者を代表して近畿支部長・西村隆治氏は「業界は昨年9月以降の飲酒運転取り締まりの強化などで低迷が続き、清酒の課税移出数量は400万石をきり、全アルコール飲料におけるシェアは7・5%まで落ち込んだ。各蔵元などの自助努力が一番重要であることはもちろんだが、この厳しい局面を乗り切るためには、皆で力をあわせていく必要がある。その核となる運動が『日本酒で乾杯』だが、現在の会員数約1万3千人を3万人にしていこう」とあいさつした。また来賓あいさつの中で大阪国税局の中島宣夫酒類監理官は、「少子高齢化の進展、人口減少社会の到来、安全志向の高まり、規制緩和の進展といった業界を取り巻く環境の中で、経営戦略上の対応が急務だ。経営基盤の強化のため、『量から質への転換』をキーワードに、売り上げから利益重視型の企業へ転換を図ることが大切。そのための具体的なポイントは2つ、つまり技術面では高品質で付加価値の高い、消費者ニーズにあった商品造りと、流通面では国税庁の発表した新指針を遵守し、健全な取引を行うことだ。また行政からの支援の1つとして、日本酒ファンを増やすためのアイデアを集めるため、セミナーやイベントなどでアンケートを行っているが、その回答で共通して言えることは、消費者への情報提供が少ないこと。『料理との相性』などパッケージやラベルに掲載していくことが必要ではないか」と語った。
講演で辰馬会長は、「全国新酒鑑評会の公開きき酒と全国日本酒フェアを同時に開催する初の試みとなった『日本酒フェア2007』は、来場者数が3576人、そのうち有料入場者数が3005人とこれまでにない人数が集まり、大成功を収めた。来年も6月に同じく池袋で行うことが決定している。特に95回目となる全国新酒鑑評会の公開きき酒は、東広島から東京へ会場を移し、業界内のみでなく、多くの一般消費者が訪れた。今後はより消費者レベルに近づくため、吟醸酒のみの画一的なものでいいのかといったことを課題としていかなければならない。また全国日本酒フェアも、43都道府県から800銘柄が一堂に集まり、販売も行ったことで、消費者・蔵元ともに生の声が聞ける貴重な機会となった。ただイベントでは多数が集まり人気もあるが、日常では日本酒が飲まれないので出荷数が伸びないというギャップが問題だ。特定名称酒が牽引し、それによって一般酒が売れていくことが理想だが、業界内で例えば純米酒=よい酒、アル添酒=よくない酒というようなイメージを作ってしまってはいけない」と述べた。さらに同氏は、需要開発、租税特別措置法第87条の適用期限の延長、競合酒類との格差是正などに努めていくこと、そして信用保証事業関係について、代位弁済額が約12億円になったことから、今年10月から部分保障を導入することなど、中央会が取り組む当面の課題を報告した。