【熊本】自然農法で、酒米・雄町(おまち)を栽培する--。そんな試みが今年、菊池市で始まった。呼びかけたのは、酒販店「渡辺商店」(菊池市)の渡辺義文さん(35)。自らも農業に携わり、“自然農法・自家栽培米”を使った米焼酎「蔵六庵」を販売し、日本酒、本格焼酎の品ぞろえでも専門性を発揮する。自然食品の取り扱いにも力を入れる同店。酒は恵まれた自然環境を表現する産物との思いが強い。
6月30日に行われた田植え=写真=。地元や福岡県から参加の消費者約70人が、5畝ほどの田に入り、雄町の苗を植えつけた。小さな子供も多く、田と遊ぶにぎやかな風景が広がる。
雄町の栽培は同県では珍しく、これを無肥料・無農薬の自然農法ではぐくむ計画。酒造好適米の雄町は原種の類で、同農法にふさわしいと、他県から持ち込んだ。
今年の雄町の作付は、渡辺さんを含め6人で5反程度になりそう。収穫されるコメは、菊池川の水を仕込み水に、流域の造り酒屋で日本酒に醸してもらう予定だ。ラベルには、バナナの茎でつくるバナナ紙を使う発想も。地元菊池の自然から生まれた“菊池の日本酒”を楽しみながら、環境問題にも関心をもってもらいたいとの願いがある。
菊池産・自然農法の茶を使った抹茶焼酎「茶楽(ちゃら)」も商品開発した渡辺さん。今回の日本酒の販売は、「地元菊池の酒販店、さらに菊池川流域の酒販店へ広がれば」と思う。酒が流通することがそのまま、売る側・造る側の環境に対する意識を高めることにつながると信じているからだ。