北部九州酒協協議会 “酒券”事業で議論

 【福岡】北部九州酒販協同組合連絡協議会(春本武男会長=福岡県酒販協同組合連合会会長)は6月15日、福岡市のグランドハイアット福岡で第28回通常総会を開催した。福岡、佐賀、長崎3県の小売組合役員が参集し、全国酒販協同組合連合会(以下全酒協)の事業について協議するもので、役員、事務担当者ら約90人が出席。行政当局から福岡国税局・神尾秀昭筆頭酒類業調整官、全酒協から山口博副会長、町田伸保経理部長らが臨席した。特に“酒券”(全酒協商品券=ビール券と清酒券)をめぐり、赤字決算が続く事業の安全性を問う声が上がったほか、非組合員に対しても組合員と同額での引き取りを徹底する施策によって、酒券取引が実質同等となることへ批判も聞かれた。協議会執行部への不信感も露呈。決算に関する審議が紛糾する異例の事態となった。議論は酒販年金問題にも及び、当時「年金懇談会」メンバーで小売中央会監事だったとして責任追及された山口副会長が激しく反論する場面もあった。

 冒頭あいさつに立った春本会長は、事業推進には信頼感が不可欠だと強調。「拡売のためには、まず不信を払しょくしなければならない。われわれは業界として再生し、いかに消費者に愛されていくかが課題だ」と訴えた。

 平成18年度、北部九州地区3県の商品券売上額実績は約8億8000万円、前年比81・7%にとどまり、全国平均94・4%と大きな隔たりが生じた。長崎県で卸業者が取り扱いを中止したことが大きな要因。同県の前年対比は半分以下の41・6%(福岡93・3%、佐賀89・5%)にまで落ち込んだ。対する回収枚数実績は3県で9・9%伸長(福岡9%増、佐賀39%増、長崎12%増)。「売り上げと回収のアンバランスが続いている」と指摘された。

 全酒協PBなどを展開する共同購買事業は、全国平均89%に対し、3県は98%で健闘。「酒販店の経営基盤の確立への貢献」を目指し、一層の商品開発、販売促進が求められた。当日は地元の長崎県壱岐、福岡県京築の組合が取り組む商品開発の事例報告も予定(時間制約で中止)。全酒協商品担当者も来福し、“特選市場”商品をはじめ全国各地の組合が開発した商品を展示紹介した。

 決算報告(収支139万5936円、支出のうち次期繰越剰余金334円)の議案説明に入ると議場は一変。審議は紛糾をきわめた。

 定例の協議会総会開催にかかわる収支決算だが、事務局の答弁で総会やその打ち合わせのための会議費は約82万円。4万円の事務費を差し引いた54万円を、3県へ分配していることが明らかになった。会計法上、年度内事項について勘定するべきで、分配金については未払い金の項目を立てるよう求める指摘があり、執行部もこれを認め、同様項目で計上した19年度予算についても修正報告する付帯案を示し、可決承認を取り付けた。出席の組合員からは、「全体的にデタラメ。おかしなことをするから酒の組合はダメになっていくんだ」との叱責もあり、紛糾の背景に執行部への不信感があることも浮き彫りになった。

 全酒協の山口副会長は、総会に欠席した小泉会長のメッセージを代読後、質疑に応えた。

 メッセージのなかで、組合員、非組合員の酒券取引の平等化については、「全国の酒販店で利用できる環境整備ができた」と表明。18年度全酒協事業は「15億3600万円のマイナスとなった」が、「有利子負債は一切なく、財務基盤は健全で安心してほしい」と訴えた。決算結果に左右されず、奨励金の支払いを続ける方針も示した。条件緩和で全国展開が可能になった“特選市場”商品の拡販も要請。「今後も自覚と責任で事業を推進していく」と強調した。

 協議では組合員が、未収商品券代や長期貸付金、商品券取引の平等化、今年中元期の100枚に1枚付きキャンペーンの中止、供託金などについて質疑。財務状態を含め事業の安全性を確かめようとする発言が相次いだ。

 山口副会長は、未収商品券代について京都の商品券不正流用事件の経緯や今後の弁済、また他県の長期貸付金の返済状況、担保物権を現地で確認していることなどを説明。「(今の全酒協)新体制では不良債権は発生していない」として理解を求めた。

 キャンペーンの中止は、展開に要する費用1億円を全国の県連へ分配するためで、「一種の組合救済のカンフル剤」だと説明。今期歳暮期については、“100対1”を実施すると明言した。

 今年5月の全酒協総会の報告では、3月末現在、商品券累計発行額は1兆1618億円、累計回収額は1兆984億円で、未回収残高約634億円--の状況。

 未使用残高が1000万円を超える場合、その2分の1以上に相当する金額を発行保証金として準備しなければならない供託金については、「1000円未満のギフト券、前払式証票には供託金を積む必要がない」として、問題はないとの考えを示した。この答弁に対しては、三好正一氏(福岡)が、「前払式(証票証券)協会に電話したら、2分の1積み立ての法律はまだ残っているということだった」と異論を呈した。さらに、「ビール券で焼酎とかを売っている。ビール券はビールの物品と換えなければいけないというのが前払式証票の法律で、協会は違反だと言う。山口副会長は、違反を認めているのか」と質疑。山口副会長は、「あくまで物品券で、券面表示の商品と交換してくださいと書いている。あとは、消費者とお店の人間関係によって利用されているものであろう」と答え、そうした実情には踏み込まない考えを示した。

 全酒協事業そのものの危うさを問う質疑が続く。事業の安全を断言する答弁に納得しない質疑との応酬となり、酒販年金事件の端緒にさかのぼり、中央団体の人事、組織のあり方を批判する展開となった。

 大島和加丸氏(福岡) (18年度)決算は15億円の赤字、来年予算も25億の赤字。売れば売るだけ赤字で、純資産は28億に。そのなかには10億の出資金が入っているわけだから、本当に厳しい状況だと思っている。そのなかで、組合員と非組合員を一緒にする発想そのものが大変不健全だ。なぜなら組合加入率は50%を切っているわけで、員外利用20%(限度)を、どうしてコントロールできるのか。

 山口副会長 発行者責任と協同組合との狭間で苦しんでいるのが現実。皆さんに何もしないわけじゃない。(キャンペーンをやめ、ねん出した分配金が)1億ですよ。

 浅川吉允氏(同) 会議のたびに出る手当も、緊縮財政のなかではボランティア精神でやらないと。

 山口副会長 われわれはどれだけの責任を負って仕事をやっているか。ある理事からは不満だ、もっとほしいという声も上がった。3役だけ下げたらバランスが崩れる。(中央)3団体ではいま、交通費も実費に近い。飛行機の座席も普通でビジネスじゃない。新幹線もグリーン車を廃止した。

 組合員の数が減っているのが現実で、われわれの事業は組合員だけに頼ってはいけない点がある。そして消費者の皆さんに、いかに安心で安全で信用を得るかというかたちでいえば、やはり一定数の売上数量がどうしても必要になる。そしてデパートで販売いただいているが、広告宣伝費ということで3円ぐらいを特別に出している。デパートさんの販売で信用度が増した。

 徳島真次氏(同) あなたの話は信用できない。あなたは自分達に責任があるからと言うが、あなたは年金の監査をやってたんじゃないか。

 山口副会長 私は平成14年12月5日の臨時総会で、年金は破たん状態だとはっきり宣言し、監査報告してますよ。

 議場 なぜ凍結しなかったんだ。

 山口副会長 それで大島さんは、自分の傘下の皆さん方に危ない、解約した方がいいとやられたご本人なんですよ。大島さんは、山口君良かった、おれはあんたの発言を聞いて対応したから火だるまにならずに済んだよ、と言われた。

 大島氏 あなたは破たんを認識をしながら、これを破たんだと言わなかった。

 山口副会長 制度が存続している以上、破たんという言葉はおかしいと言ったのは執行部。私は言っている。言っているから私に責任がないとは言わない。ただし、個人年金ですよ。裁判ではっきり白黒つきますよ。

 大島氏 あなたが全酒協の副会長であること自体が信用できない。

   三好正一氏(福岡) 百貨店など非組合員がビール券を扱っていますね。協同組合は中小企業法のなかにあって、本来なら大手ではなく、中小企業が利益を上げるために立っている。

 山口副会長 ただ、勘定科目において広告宣伝費という性格を持たせている。

 三好氏 宣伝費でしてもらうこと自身が、本来の話とは違う方向に向かっているのではないか。百貨店は儲かっている。われわれ小さい団体は、今年も15億の赤字。ここ数年の赤字を合わせると70億の赤字になる。70億の赤字を作ってわれわれは守られているのか。それとも損をしているのか。

 山口副会長 要は券が売れなければ、スムーズに回収できなければ、事業の存続はない。非組合員の方も回収に協力してください、というかたちのなかで、全国のチェーン店の組合加入も非常に上向きになってきた。イトーヨーカ堂もそうだし、セブンイレブンもそう。マインマートでも動きがある。

 協議では、役員報酬の支払い限度額の引き上げについて批判もあったが、山口副会長は、員外監査を入れるための施策だと説明。免許制度にも触れ、参院選を契機に政治へ働きかけ、環境・省エネという切り口で新しい制度の構築に努める考えを示し、端的には「24時間営業のコンビニエンスストアが本当に必要なのか」と問題提起した。

(掲載日:2007年06月22日)

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