国税庁鑑定企画官室は6月18日、平成19年5月までにとりまとめた平成18酒造年度(平成18年7月~19年6月)における「清酒、本格焼酎、泡盛、果実酒、地ビールの製造概況」を発表した。それによると、清酒の製造状況は「1392場(前年比24場減少)で製造され、製造見込み数量は、全体で前年に比し約4%の増産と見込まれている。中小清酒メーカーの中では、純米系清酒の比率を高めるなどの動きが見られた。酒質については、米の旨みが多いやや濃醇タイプとなっている」と報告されている。
主な酒類の平成18酒造年度製造概況は次のとおり。
<清酒>
(1)概況…全体で11の製造場が製造を再開したが、廃業または休造となった製造場も多かったことから、最終的には実製造場数で24場減の、1392の製造場で清酒が製造された。製造見込数量は、一部地域を除いて増産となっており、全体では前年比約4%の増加が見込まれている。
各地域の製造場では、地域独自の酒造好適米や酵母を開発し、地域ブランドを確立するため、積極的に活動している。また、昨年5月の酒税法改正を受けて、中小製造場の中には、大手製造場との差別化や品質重視の観点から、糖類の使用をやめたり、特定名称清酒(特に純米系)の比率を高めるなどの動きが見られた。
(2)気象条件…全国的に記録的な暖冬で、日本海側では降雪(降水)量も少なく、あまり酒造に適しているとはいえず、例年以上に冷却設備を稼働させた製造場が多くなった。
(3)原料の状況…原料米は、天候の影響により入荷の状況に大きな差が見られ、台風などの被害を受けた一部の地域では、入荷が遅れる、地元の米で希望数量が確保できない、価格が上昇するなどの影響がみられたが、そのほかの地域では順調に推移した。
(4)造りなどの傾向…全国的に記録的な暖冬の影響が出て、例年に比べ発酵が進み過ぎたり、米が溶け過ぎるなどもろみの管理に苦労する製造場が多く見られた。しかしながら、製造担当者が蓄積してきた製造技術と冷却設備の普及により、例年と比べ遜色の無い品質の清酒ができている。酒質は発酵が進み過ぎて、予定よりも辛口に仕上がったものもみられたが、多くは米の旨みが多い、やや濃醇タイプにまとまっている。
(5)労務状況など…季節雇用従業員から通年雇用社員などへの移行が顕著になり、一部の地域では、季節労務の杜氏を採用している製造場の割合が4割を下回っている。
また、経営者やその子弟が直接製造に従事する割合も増加の傾向が見られ、そのうち約360場で製造責任者となっているため、こうした製造場でいかに技術の継承を円滑に行っていくかが重要な課題となっている。
<本格焼酎・泡盛>
東京局、福岡局、熊本局および沖縄国税事務所管内の本格焼酎・泡盛の稼働製造場数は前酒造年度と変わらなかったが、製造見込数量は前年比約2・5%程度の減少となった。原料別では麦および黒糖焼酎は伸びているものの、ほかの原料については減少している。
焼酎ブームおよび地域特産原料による製造免許の規制緩和の影響は、主産地である九州・沖縄地区ではほぼ沈静化しているものの、そのほかの地域では焼酎製造への新規参入や製造委託を計画する業者も少数ながら見られている。
原料の入荷状況は、酒粕は大幅な不足となっているが、そのほかの原料の入荷は順調。価格は不足の続いている酒粕に加えて、製造が増加している黒糖と輸入大麦で上昇が見られた。性状については、特段の支障はなく概ね良好だった。
醸造状況は、甘藷焼酎において、冷凍設備の普及(使用しなくなった漁業用の冷凍庫の転用など)により国産甘藷の貯蔵が可能となり、製造期間の延長がみられた。また、泡盛については、設備を更新した製造場がいくつかあるほか、古酒の年数表示にかかる自主基準(貯蔵年数の表示は全量がその表示年数以上貯蔵したものを使用していないとできない)の策定により古酒の在庫が不足気味となっていることから、増産に着手するところもみられた。
蒸留粕の処理は、新しい陸上処理施設が稼働・建設されているが、本年3月31日までに全量を陸上処理できるようにはならなかったため、蒸留粕の共同処理組合などが、環境省に海洋投入を申請し、5年間を限度に認められた。
<果実酒>
製造数量は、ほぼ前年並みで推移している。
原料ぶどうの入荷は、夏場に例年より気温の高かった北海道は成長が順調で、そのほかの地域では、冷夏、日照不足、長雨の影響で収量や入荷時期に影響が見られた。価格については例年並みとなっている。
また、ぶどうの性状は、冷夏や長雨などの天候不順の影響を受けた山梨県および近畿地方ではやや糖度が低かったものの、そのほかの地域では平年並みか良好。
製成酒は、山梨県が例年より香味が軽快ですっきりした酒質となったが、そのほかの地域では良好もしくは例年並みの酒質となっている。
<地ビールなど>
地ビールおよび発泡酒の製造場数は前年に比べやや減少した。製造数量は、一部の製造場で販路の拡大、缶容器への対応により製造数量を伸ばしているが、全体としては減少傾向が続いている。
こうした状況の中でも、地域の特産品を利用したり、他社に真似のできないオリジナル製品を開発したり、外国のビールコンテストで好成績を収めるなど、企業独自の取り組みを積極的に行っている製造場では、土産や贈答品にも利用され好評を博している。