【熊本】「お父さん一緒に飲もうよ!」「心を込めてありがとう」…。14年熟成の清酒・大古酒を詰めた父の日ギフトのラベルにしたためられた、7つの感謝の言葉。その1つ1つは、百貨店「くまもと阪神」(熊本市)の酒売り場担当者7人が発想したものだ。酒を醸造した蔵元、朝凪酒造(福岡県久留米市、「朝凪」醸造元、久保山泰社長)の樋渡繁夫さんは、今回の父の日フェアの企画を、「売り場の方との合作だ」と語る。
6月5日から同月18日(父の日は17日)まで、清酒フェアに合わせ初めて企画した。売り場では、“社員の作品展”と銘打ちラベルをアピール。消費者は気に入った言葉のラベルを選び商品を購入することができる。詰める酒は、平成5年福岡国税局鑑評会で高く評価された純米大吟醸酒を、1升びんに詰め14年間寝かせたもの。とろっとしたなめらかな感触、深い品格をたたえ、蔵元も驚くほどの古酒に仕上がったという。期間中に、300mlびん詰品(税込1890円)で200本程度を販売する予定だ。54lかめ入り(39万2700円)も用意した。
初日から売り場は活況を呈した。60代の父親にと、お酒を求めに来た女性は足を止め、きき酒で納得。即、“「お父さんありがとう」ボトル”の購入を決めた。女性は「いつもは焼酎のお父さんに、いままで飲んだことがないお酒で喜んでもらいたい。いいプレゼントができた」と声を弾ませた。
“作品”をつくった女性社員は、酒の“命名”は初めて。「気恥ずかしい感じもしますが、お客様に喜んでいただけるパフォーマンスになっているのでは」と、来店客の反応に手ごたえを感じている様子だった。
蔵元の樋渡さんは、「手間はかかっても、メーカーのエゴではなく、お客様を一番知っている売り場の人の意見を反映させたいと思っています。社員の皆さんが楽しんで仕事をしてくれたこともうれしかった」と話す。造り手と売り手が一体となることで、売り場そのものも活性する。
蔵元は、800lものタンクを売り場に持ち込み、量り売りも行っている。「さながら、出張蔵開き」(樋渡さん)。消費者の声を直接聞く機会を、売り手とのパイプを太くしながらつくる。“顔が見える売り場”を創る取り組みにも見える。