全国卸売酒販組合中央会は5月21日、第54回通常総会を東京千代田区のKKRホテルで開催し、平成18年度事業報告、決算報告などを承認した。国分勘兵衛会長は、あいさつの中で、「景気は回復してきていると言われているが、酒類市場は縮小傾向、低価格化の様相にある。従って酒類の需給は、生産と販売のバランスが望ましい。ビール系酒類の新取引制度の定着は、まだ十分でない状況なので、自社基準を見直して遵守し、新取引制度を定着させ、適正利益を確保せねばならない」--と訴求した。
国分勘兵衛会長は、総会冒頭のあいさつで要旨次のとおり語り、ビール系酒類のオープン価格制の定着に向けて自社基準を見直しの上、遵守を要望したい、と強調した。
国分勘兵衛会長
「今年も初夏に入ったが、酒類業界は競争が激しく、実質的成長は期待できない状況にある。むしろ市場は縮小と見た方がよいのではないか。マーケットが縮小、低価格化の方向にある中で、規模の拡大を目指せば、流通業界は種々の問題となる事態が生ずる懸念がある。また酒類の特性を考えれば、酒類の生産と販売数量は、バランスのとれる姿が必要で、卸業界としても最適な供給が望ましい。その結果として、卸業者の経営基盤の強化と卸機能の発揮の対価として付加価値の取得が望ましい。おとり販売や過当なサービスなど経営を害する行為は、慎むべきだ。今年1月から取り組まれているチューハイ類の新取引制度は、国税庁の制定した酒類公正取引制度(新)指針や関係業者の努力でおおむね順調に推移しているが、その一方、ビール系酒類のオープン価格制度(新取引制度)は、まだ道半ばの状況だ。もう一度、コストオン方式の自社基準の見直しと遵守によって流通秩序の回復に努めてもらいたい。卸業者は、中間流通の機能を果たし、適正なマージンを取得して経営安定を図らなければならない」--と述べた。
来賓の荒井英夫・国税庁国税審議官は、あいさつの中で、「酒類の公正取引推進では、国税庁は新指針の啓発と実態調査を行うが、酒類業界、特に卸業界は、コストオン方式の推進、独占禁止法マニュアルの作成などで公正取引の推進へ自主的な対応を強く望む。卸業者は、生産者と小売業者の中間業態として公正取引へ引き続き努力していただきたい」--と要請した。
平成18年度事業報告の中での新取引制度などの報告要旨は次のとおり。
<新取引制度の完全実施>
仕入価格に適正なコストをのせるいわゆるコスト・オン方式による新取引制度は、価格形成過程を一層透明化し、公正な取引市場の形成に寄与するところが大きい。
我々卸業界としては、ビール・発泡酒の新取引制度のスタートに際して、その定着に向け、会員各企業がそれぞれ自社基準を策定するなどして、積極的に取り組んできたが、その後、揺り戻し現象が生じ、各卸が大変な努力を強いられる状況にある。
しかし、最近の酒類に対する社会的関心の高まりや原油・ユーロ高による価格改定の動きなどは、市場における価格形成のあり方を原点に戻って考えさせるものであり、卸業界として新取引制度の定着に向けて再度取り組む絶好の機会と考え、自社基準の見直しなどその具体的な実施に向けて酒類ガイドライン遵守推進本部会議を開催した。
<公正取引委員会への申告>
新指針において国税庁は、公正取引委員会との連携を強く打ち出しており、中央会としても国税庁のみならず公正取引委員会との連携を一層強化することが求められている。
特に、酒類卸売業界に対する公正取引委員会の認識を深めさせるとともに、適正な措置が迅速にとられるよう、各地における不当廉売や差別的対価と思われる事例について卸酒販組合を通じて、公正取引委員会へ積極的に申告を行っている。
<独占禁止法遵守マニュアルの作成>
卸業者自身も当然のことながら独占禁止法を遵守し、酒類流通市場の公正取引に貢献すべきとの立場から、各企業内においてその周知徹底を図るための「独占禁止法遵守マニュアル」を作成している。
これは、日々の営業活動などにおいて直面するような具体的な事例を盛り込んだ実践的な一問一答形式となっており、平成19年度の早い時期に完成すべく作成を急いでいる。