平成18酒造年度の新酒の出来栄えを競う「全国新酒鑑評会」の審査結果が5月21日、独立行政法人・酒類総合研究所より発表された。今年は第Ⅰ部(原料米に「山田錦」以外の品種を使用、あるいは「山田錦」の使用割合が50%以下)に118点、第Ⅱ部(原料米に「山田錦」を使用)に863点の合計981点が出品され、同研究所理事長が推薦した審査員で審査が行われ、入賞酒484点、入賞酒の中で特に優秀と認められた252点を金賞酒として選出した。
同鑑評会はこれまで同研究所が単独で主催してきたが、今酒造年度から審査および結果発表、製造技術研究会を同研究所が主に担当、一般公開については日本酒造組合中央会が担当するといった共催の形がとられた。5月24日に広島県東広島市で開催された製造技術研究会に併せて記者会見が行われ、同研究所・品質安全性研究部門長の中野成美氏が説明に立った。
ここ数年、全体の出品点数は減少傾向にあるものの、第Ⅰ部については増加している。今年も昨年に比べて全体の出品が16点減少しているのに対し第Ⅰ部については20点も増加。「山田錦」以外の米では、これまで「五百万石」「雄町」「千本錦」「秋田酒こまち」といった品種の出品は多かったが、「さぬきよいまい」「伊勢錦」「京の華」「但馬強力」「夢錦」「誉富士」「彗星」の7点が過去5年間で初めて出品された。第Ⅰ部の出品増加を中野氏は、「地元の米で地酒を造りたいという気持ちの表れだろう」と分析。今後もこうした傾向は続くと見られる。また、日本酒度について「昨年は平均+4だったのに対して今年は+3・5。統計学的に見ても甘口化が進んだと言ってもいい」と変化を強調した。
今回、製造技術研究会を広島で開催し、6月7日には東京で一般公開が開催されるが、「研究所としては、今回の開催方式が現時点ではベターだと考えている。しかし製造技術研究会も東京で開催してもらいたいという業界内の声も承知している。一般公開後に中央会との意見交換を行うが、その中で次年度以降の開催方式も話し合われることになるだろう」とし、研究所としては製造技術研究会を次年度以降も広島で開催していきたい考えを明らかにした。
審査講評(要旨)は次のとおり。
今年は、記録的な暖冬で残念ながら、酒造に適した年ではなく、原料米の作柄も北海道を除く地域で、日照不足により平年以下の作況となり、特に台風の被害などを受けた九州では、作況指数が78という極端に低い値になった。
今回の出品点数は、前年より16点少ない981点で、出品酒のうち、山田錦以外の酒造好適米などの特質をみるために設けた出品区分の第1部は、昨年より20点多い118点で、過去最多の出品となった。
出品酒の酒質は、酒造条件には恵まれなかったが、各製造者が酒造技術を駆使した結果、例年同様に、全般に香味の調和した甲乙つけがたいものだっだ。香りについては、さまざまな清酒酵母の特長を生かした香りの多様化・個性化が認められ、上立ち香の豊かなものから穏やかな芳香が口中に上品に広がるものまで変化に富んでいて、特に、マスカットやパイナップルなどの個性的な香りのものが見受けられた。
味については、芳醇で重厚さを感じさせるものから、淡麗ですっきりしたタイプのものまで幅広く多様。一方、暖冬や米質の影響で、発酵が進みすぎて味がうすい酒質になったり、逆に米が溶けすぎて甘味が残ったものもあり、酒造技術の巧拙が酒質に反映されやすい年となった。
また、山田錦以外の原料米を使った出品区分の第1部については、第2部のふくらみのある山田錦の酒とは異なり、すっきりとした切れの良いタイプの酒質になる傾向だ。出品点数も増加しており、各地で新しい酒造好適米が開発され、今後もこれらの原料米の使用による日本酒の多様化が進むことが望まれる。
今回出品された吟醸酒は、いずれも原料処理から麹造り、醪の発酵管理、熟成に至るまで細心の注意が払われて製造された個性豊かな高品質な清酒。今後貯蔵管理および流通での取り扱いが適切に行われ、消費者にもその優れた香味を十分に堪能してもらえるよう、関係各位の更なる努力をお願いする。