地の酒はぐくむ酒会 球磨の焼酎学校

 【熊本】地元の焼酎をはぐくむ--。熊本県人吉・球磨地域の蔵元が醸造する固有の本格米焼酎“球磨焼酎”を、地元の人に知ってもらう酒会「球磨の焼酎学校」の第13回“授業”が3月29日、人吉市内の飲食店であった。

 「学校」は月1回ペースで開かれ、毎回1社の蔵元を招き、個々の蔵元の魅力を伝えている。運営は、郷土の食を考える飲食店有志「源の会」、球磨焼酎酒造組合青年部、地元の酒販店や卸。球磨弁研究の第一人者で郷土史にも詳しい前田一洋さんが校長を務める。

 今回学校に招かれたのは豊永酒造(球磨郡湯前町)。「焼酎造りは土づくりから始まる」との方針のもと、「豊永蔵」など主銘柄を有機農法米で仕込む蔵元だ。球磨の豊かな自然風土をバックボーンに、“豊穣自然焼酎”造りを目指している。

 当日の参加者は約30人。蔵元からは5人が参加。同社の市販酒を楽しむ前に、前田校長の話があり、コップで酒をやり取りする“コップ盃”を酒席での好ましくない風習だと指摘。特に、外国人にとっては受け入れがたい風習で、球磨焼酎のマイナスイメージにもつながるとして、改めるよう呼びかけた。

 蔵元代表の豊永史郎さんは、球磨で焼酎を造る意義と歴史を掘り下げながら語った。「球磨は弥生の農耕、稲作の最古の適地だった」として稲作文化定着の先進地だったと指摘。豊穣に恵まれ、渡来の焼酎製造技術をいち早く取り入れた「球磨の地で本格焼酎は生まれた」と主張した。自然風土の豊かさゆえに蔵元は存在しているとも。「球磨で焼酎を造ることは誇りであり喜び。その球磨の風土の素晴らしさを表現するのが、私たちの役目だと思う」と話した。

 球磨焼酎は、世界的にはWTOトリプス協定・地理的表示の指定を受け、国内的には酒類で唯一、地域団体商標登録(地域ブランド)を得ている。4月からは統一ロゴマークで産地ブランドをアピールしていくことも決まっている。そうした制度的な枠組みを整えるとともに、その価値を草の根で伝える取り組みが欠かせないなかで、「球磨の焼酎学校」は地元人材の連携によって、球磨焼酎の魅力を発信する母体となりつつある。

 同地には28の蔵があり、今回13蔵目の紹介を終え、折り返し地点に差し掛かったといえよう。「源の会」代表の春口敬さんは、地元の熊本県立南稜高等学校に「醸造」科目が新設されたことも、球磨焼酎の情報発信において大きな力になるとの見方。「球磨の焼酎学校」での活動を含め、口コミで球磨焼酎への評価が高まることを期待する。酒造組合青年部長の松本敏幸さんは一連の取り組みを、「われわれがなくしていたプライドを取り戻す作業」だと位置づける。

(掲載日:2007年04月18日)

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