
【熊本】ジェトロ熊本(熊本市)と球磨焼酎酒造組合(人吉市、加盟28社、林篤理事長)が1月中旬、球磨焼酎の産地、球磨・人吉に英国の酒類ジャーナリストを招いた。球磨焼酎が生まれる焼酎製造の現場で、産地の気候風土も体感しながら、その魅力に触れ理解を深めてもらうことで、球磨焼酎を国外へPRするのがねらい。日本滞在中には、東京でセミナーも催した。
今回の招へいは、日本と世界の産地をつなぐジェトロLL事業(Local to Local産業交流事業)の一環。人吉市・球磨地方と英国スコットランド両地域が、ともに基幹とする蒸留酒産業、球磨焼酎とスコッチウイスキーの交流を促すもので、球磨焼酎酒造業界にとっては、ブレンドや樽貯蔵などの技術研究、産地ブランドの強化や海外戦略を摸索する布石となる。熊本県工業技術センターや人吉市の協力も得て、これまでに現地調査のためのミッション派遣(2005年2月)、同地の蒸留酒コンサルタント招へい(06年1月)、英国スコットランド視察(同年5月)を行ってきた。LL事業としては今招へいで区切りをつけることになる。
来日したのは「ウイスキーマガジン」寄稿編集者のデイヴ・ブルーム氏。1月15日、人吉市福永浩介市長を表敬した後、蔵元3社、翌16日にさらに1社を訪問後、地元メーカー関係者と情報交換。17日東京で、在日外国メディア、国内メディア、酒類輸出業者などを対象に開催された“本格焼酎の源流・球磨焼酎セミナー”では、産地訪問の感想も述べた。
福永市長との対話のなかでブルーム氏は、「ヨーロッパではいま、プレミアムで高品質な飲み物へ関心が高まっており、輸出にはいいタイミング。シングルモルトは、家族で代々やってきた蒸留所で造られる、そうした商業的インパクトがあるが、焼酎もそれに似ている」と指摘した。
訪問蔵の1社、高橋酒造(人吉市、白岳酒造研究所)では工場見学はもとより、同社のレギュラー商品、試作中の樽貯蔵原酒などをテイスティング。「クリーミーで優しい」「新鮮な果実の香り」など評価。ボトルやラベルデザインについてもアドバイスした。
ジェトロ関係者によると、同氏は東京のセミナーで、「今回訪問した球磨地方はスコットランドのスペイサイドと数多くの類似性がある。すばらしい風土を背景に個性豊かな酒造りが残っており感銘を受けた」と発言。海外市場開拓の可能性についても、「いまの消費者は本質的なものを見抜けるようになっているので、高級プレミアム酒として十分に展開していける品質レベルを持っている。麹、主原料ともにコメを使用する球磨焼酎は、とても繊細な味わいを持つクリアな飲み物で、SAKEに馴染んだ西洋人が、焼酎を楽しむには球磨焼酎から始めるのが最適だと思う」と語ったという。