
【長崎】波佐見町の“地の酒”、清酒「六十餘洲(ろくじゅうよしゅう)」の新酒を楽しむ会が1月13日、醸造元の今里酒造(波佐見町宿郷、今里榮子社長)であった。主催は、蔵元の酒愛飲のために昨年10月に発足した「六十餘洲蔵舞(くらぶ)」。業種を超えた地元生活者約60人がメンバーで、当日はメンバーほか総勢90人が参加。酒蔵コンサートに心酔し、しぼりたて新酒を存分に楽しんだ。
太い梁(はり)がうねり、母屋とつながる独特な空間。夕刻に始まったコンサートは山口修さんのギター演奏、声楽家で妻の純子さんの独唱で構成され、繊細につまびかれる弦の響きをまとう歌声が異空間を彩る。音楽での癒やしに続き、参加者は待ちかねた新酒と対面。蔵元の酒を愛する人の集まりだけに、重ねる杯はとどまらず、談笑の輪が幾重にも広がった。
「--蔵舞」発起人代表で地元波佐見焼きの窯元、●龍窯の吉野眞佐雄さんは、料飲店経営の友人に品揃えをアドバイスするほどの日本酒好き。蔵元の酒が鑑評会やコンテストで賞をとっても、地元の人は無関心で、一ファンとして何もできないことへ、もどかしさがあったという。「こんなにも努力をしている蔵元のお酒を、何よりも地元で広めたい」との思いが氏を動かした。地元の文化おこしに積極的にかかわる視点から、酒蔵は地域文化の一翼を担う大きな存在だと断言する。地元の酒を地元の人が愛飲する、そんな当たり前の環境を、「--蔵舞」発信の口コミから草の根ではぐくんでいきたいとの願いがある。今後の酒会は、例えば二十四節気など四季の移ろいを映し、酒とともに地元文化も楽しむような形で開いていきたいという。
蔵元の今里社長は、「地元の方に、こんなにも応援いただき、支えていただいているんだと、励みになる。もっといいお酒を造りたい。そのための勇気をいただき、後を押していただいていると感謝しています」と語る。技術だけで“地の酒”は生まれない。地元の人とのつながりが、酒造りの大きな力になる。
●は火3つの「ほのお」