【熊本】多様な有効活用が可能で、宝の山ともいわれる焼酎粕の再資源化を、特に畜産飼料の観点から意見交換するシンポジウム「焼酎粕濃縮液等の地域資源を活用する発酵混合飼料調整・給与技術と地域連携システムの構築」が11月8日、球磨焼酎の産地、人吉であった。
食料自給率を向上させるため、自給飼料の生産拡大が課題となっている現在。稲わらなどの粗飼料(そしりょう)や焼酎粕濃縮液など地域資源の利用技術を確立し、その活用促進のための広域流通・連携システムづくりを目指すもので、独立行政法人「<農業・食品産業技術総合研究機構>九州沖縄農業研究センター」(熊本県合志市)が主催。球磨焼酎酒造組合と粕処理事業を行う「球磨焼酎リサイクリーン(株)」(人吉市、代表取締役・林篤=球磨焼酎酒造組合理事長)が共催。農林水産省九州農政局、熊本県、人吉市が後援、リサイクリーンのプラント施工社・三井造船が協賛した。
畜産飼料の自給率が低下するなか、稲わらなどの粗飼料(そしりょう)自給率を、現在76%から平成27年度100%へ、飼料自給率も23%から35%へ引き上げるため、粗飼料の生産拡大や食品残さの飼料化が国策となっている。畜産業、飼料メーカー、行政・研究機関、焼酎メーカー、粕処理プラントの関係者ら約130人が出席したシンポジウムでは、土づくり草づくりによって家畜をはぐくむ“耕畜連携”が訴えられ、そうした地域循環型・資源活用の一環として、焼酎粕の飼料化利用に期待が寄せられた。
同地の焼酎粕を飼料化しているリサイクリーンは、株式の51%を地元の市町村が、残り49%を焼酎メーカーが持つ第3セクター。メーカー株主は酒造組合員のほぼ全社、26社に及ぶ。1日あたり70t、主に米焼酎の粕を固液分離後、個別処理し飼料化している。
「メーカーは良質な飼料化のため、新鮮で良質な蒸留廃液を提供する義務を持つ」(同社)とし、廃液の腐敗防止をマニュアル化。腐敗廃液に対しては、収集ドライバーが適切に対応できるよう研修を行っているとの報告もあった。同社の飼料を通常のエサに混合し使っている地元の牛乳や卵の生産農家の評価も紹介した。
パネルディスカッションでは3氏のコメンテーター(川村修・宮崎大学農学部教授、林國興・鹿児島大学農学部教授、上村昌志・南九州国産牛生産販売確立協議会会長)が持論を展開。上村会長は牛生産者の立場から、「エサ代を含め、いかにコストを下げるかも課題だが、目の届く範囲で安心安全な材料を使いたい」と語り、川村教授も「土に還元するところまでの循環システムをつくらねばならない」と応えた。林教授は「焼酎粕の研究を重ねれば重ねるほど、びっくりするぐらい良いことばかりが見つかる。(家畜の)成長促進、細胞強化、肉をおいしくする作用もある。飼料として将来、取り合いになるのではないかと心配している」と述べ、焼酎粕の可能性を確信する見方を示した。