【福岡】理事長が年金被害者へ見舞金--。今年2月の総会で福岡小売酒販組合(事務所・福岡市中央区)の新理事長に就任した浅川吉允氏が、今後受け取る予定の1年間の手当のほぼ全額を、年金被害者の見舞金として拠出することを、5月14日、組合会館で開催した年金説明会の席上、表明した。
年金被害者への単組レベルでの状況説明会は、加入者名簿の不在を理由にほとんど開かれてこなかったのが実情で、加入被害者が孤立する問題はいわば、個人情報保護法を盾に放置されてきた。同組合の説明会はそうした状況に風穴を開けるもので、今後、被害者の連携を単組や県連、中央会が積極的に支援していくことが望まれる。
同組合では、事務所に保管されていた平成13年当時の加入者名簿と、県連保管の名簿を突き合わせ、現加入者を35人58口と確認。全員に説明会開催を案内し、当日は約10人が出席した。
会では冒頭、役員が「多大なご迷惑をおかけした」と謝罪。続き、これまでの経緯や中央会の対応などの説明に入った。浅川理事長は、事件が平成13年度にまでさかのぼると指摘。年金決算が元本割れの危機的状況に陥るなか、総幹事信託銀行の三菱信託銀行が、年金制度の解散を提案し、解散しない場合には総幹事を辞退する申し入れを行ったにもかかわらず、解散の判断をしなかったことが事件を招いたと断じた。「中央会は(犯罪に)ブレーキをかけなかった」として当時の幸田執行部の責任に言及。藤田現会長も年金運営委員会委員として制度継続に関与した“グレーな人物”だとして、同氏を告発している福岡県連・大島前会長を支持。県連会長人事にも触れ、氏を会長職から下ろす“介入”にも触れた。
解約で被害を免れた県連役員、また単組役員がいることも問題視し、「解約した気持ちを組合員にも伝えてほしかった」と語り、前役員の対応にも疑問を投げかけた。
出席者からは、組合執行部が名簿がないと対応を怠った責任を問う声、「本当の情報開示さえあれば被害は防げた」との怒りの声が上がった。4月東京地裁での中央会への賠償命令に触れ、「先に訴えたものだけが救われるのではおかしい」との意見も見られ、決定的な解決策がない事態に戸惑う姿も浮き彫りになった。
当日、被害者の会などを立ち上げる具体案は示されなかったが、閉会後、ある出席者は「この会を契機に連携を呼びかけていきたい」との考えを示した。