【福岡】日本酒・本格焼酎醸造元、杜の蔵(久留米市三潴町、森永和男社長)が、日本酒の全商品を純米酒に一本化する。日本民族の酒、日本酒の危機的な現状打破を目指し決断したもので、「純米酒に賭け、日本酒復権に挑戦する」(同社森永社長)。同社はすでに、平成16酒造年度の造りでアルコール添加全廃を実現。今年10月には、同社市販酒のすべてが純米酒規格になる見込みだ。
同社は昭和56年、純米酒を初市販(「杜氏の詩」)。平成元年からは酒米栽培へも踏み込んでいく。酒造好適米「西海134号」を純米酒の原料として選定し地元三潴町で契約栽培を開始。「将来的には純米酒を商品の中心にしたいとの願望を抱いた」という。平成4年、現社名へ変更。“酒蔵での職人による酒造り”を醸造の基本スタンスとし、同6年、新たな純米酒ブランド「独楽蔵」を発売。12年には、吟醸酒ブランド「大手門」をすべて純米酒にした。今回、純米酒発売から4半世紀を経て、“オール純米酒”へと至ることになる。
現在、使用原料米の3分の2を三潴町産の西海134号(酒米名「大地の輝」)、3分の1を福岡県・糸島産の山田錦で賄い、“オール地米造り”も確立している。
全国における平成15年度の清酒全出荷中、純米酒構成比は約9%の状況。同社の構成比は約66%と高いが、それでも残り34%を純米酒に切り替えることになる。今回の商品施策の転換にあたり、同社は新たに普通酒価格帯の純米酒2ブランド(「大地の輝」<1・8L、税抜1850円>、「大地の輝別撰・蔵出し純米酒」<同、1700円>)を投入。純米酒愛飲層のすそ野を広げる策も講じた。
今や、清酒の全酒類消費に占めるシェアは8・8%(平成15年度)にまで落ち込み、「他国の民族酒(一例・ドイツのビール81・1%、フランスのワイン57・6%=平成13年度)と比べあまりにもひどい」(森永社長)。同社では純米酒を、「幅広い食とともに安心して楽しめる日本酒」として、“体にやさしい純米酒”をキャッチフレーズにアピールしていく方針。「日本酒の持ち味であるコクとか旨さ、アイデンティティーを強く主張していきたい」という。