全国小売酒販組合中央会は5月19日、東京・目黒の全国酒販会館で、第52回通常総会を開き、平成16年度事業報告および決算関係案件を承認するとともに、酒販年金問題に係る外債未償還に関する調査・回収対応で1億円の予算計上と年金返還の見直しなど3案件を可決した。
また、中央会の理事・監事全員任期満了に伴う改選を行い、新理事、監事を選任した後に開催した新役員会で会長を互選したが、満場一致で会長に推挙された井上正光氏が、就任を固く辞退したため、同日の総会では会長は決まらず、6月7日に再度理事会を開き、会長、副会長を選任する異例の事態となった。
総会は、井上会長があいさつし、「幸田会長の辞意表明を受けて、短期間だが会長を引き受けた。酒販業界は免許制度の期限切れが近づいているなど多くの問題が山積している中で、酒販組合を何とか再生することが大事だ。これまで2年間の『酒類小売業者の経営改善緊急措置法』が今年8月に期限切れになり、酒販業界の社会政策の確立など制度の再構築が必要なので、できるだけ早く酒類小売業緊急措置法の延長を要望している。酒販年金問題についておわびしなければならない。現在、調査中だが、非常に厳しい事態だ。酒販業界は多くの難問に直面しているので、何とかこれを解決したい。新執行部で酒販業界の発展を図ることを祈念している」と述べた。
議案審議は、議長に脇田京都府連合会長を推挙して議事に入り、酒販年金問題関係議案を先議することとし、主査弁護士の堀裕弁護士が「酒販年金資産の償還問題に関する報告書」を別掲のとおり報告した。
このあと、会員からの質疑に対して、堀弁護士は、①年金資産の償還は極めて非常に厳しい情勢だ②一つの金融商品に資産のほとんど全額を投資するすることは異常な取引だ③この問題は本質的なもっと根深い問題、ということを認識してほしい④この件の調査への費用と投資額の回収の可能性は関係ない⑤仮に20億円を回収するには、費用は8億円もかかる。このことをよく考えてほしい--と答えた。
次いで、中央会の四十万隆・年金調査委員長が「こういう難しい債権を買ったことが問題だ。海外投資をした経緯と関係者を調査中だが、年金加入者に対し情報開示が遅れており、投資の実態の問題などで謝罪すべきだ。1億4千万円の使途不明金についても調査しており、返還請求も検討している」と説明した。
年金問題3議案の審議では、海外投資の関係者、投資先会社などの刑事告訴の要望が出されたが、これに対し中央会の顧問弁護士は「刑事告訴は、すぐにだれをどういう罪名でとは分からないので、現状では難しいのではないか」と語り、中央会の山本和夫・年金委員長は「投資金の回収の可能性の芽をつぶすことだけはしないでほしい」と指摘した。
この問題への刑事告訴などを含めての今後の対応は、新執行部に申し送ることで年金関係3議案を次のように可決、承認した。
(1)年金清算に係る保有資産状況および支出明細など承認の件を承認。
(2)外債未償還に係る調査・回収対応案承認の件は、調査・回収対応費として1億円を計上することを可決。
(3)年金制度廃止に伴う返還の見直し案承認の件は、今年8月23日には、第1期返還に同意書提出が間に合った者は第2期分の10%を返還し、第1期返還に間に合わなかった者は、15%と10%を合わせた25%を返還することになっているが、年金資産が未償還の現状では難しくなっているので、第1期分の15%を返還した者は、今年返還すべき第2期返還の10%の部分についてはしばらく間検討する期間がほしい。