業酒連が全国大会 「三層価格の復活を」

2019年06月06日

 全国酒類業務用卸連合会(業酒連、榎本一二会長、会員159社)は5月22日、第33回全国大会を都内で開催し、上程の議案を審議・可決した。

 任期満了に伴う役員改選では、榎本会長、佐々木実会長代行は留任。新たに沓名滋氏(東京)、谷口祐一氏(東京)が理事に、善波栄治氏(東京)が運営委員に就任した。

 冒頭、榎本会長は、「私は2011年に会長に就任してから8年経つが、当時は酒類業界全体が2003年に行われた小売酒販免許の実質自由化の波に、先の見えない過当競争、廉売が流通業者を襲い、経営意欲を奪っていた。その結果、転廃業が続出。当組合でも退会を申し出る会員が次第に増えていった」と振り返った。

 2017年に酒税法、酒類業組合法が改正され、酒類の公正な取引の基準が施行されたが、「各社遵法の精神を貫き、企業の持続可能性を追求してもらいたい」と話した。

 また喫緊の課題として、ビール価格制度を3層価格制度に戻す案件については、「ビール各社は自己の保身を優先してオープン価格制度に移行した。その後13年間、当会が中心となり特約店を加え活動を展開してきたが、昨年開催された製販3層意見交換会において、ビールメーカーから積極的に検討する旨の回答を得た。当会の主張が通る日が近づいていると確信している」と述べ、3層価格の復活について期待した。

 また「積年の案件」として、中身販売撤廃の件については、「さまざまな角度から調整してきた。今年に入ってから、消費税の観点から行政の指導を得られないかと動いてきたが、成果は得られなかった。しかしこの度の基準の観点からは『総販売原価割れとなる恐れがある』との見解をいただいており、容器付販売でなければならないとの法的根拠を得た」と期待。「業酒連は真摯にさまざまな課題に取り組んでいる。酒類業の中核業団として酒類業の持続可能性に資したいと常々考えている」と協力を呼び掛けた。

 今年度は、①酒類業務用卸分野の確立②新取引制度から3層価格制度への移行を要望③ビールの中身売り販売徹底④未成年者飲酒防止への取り組み⑤「酒類の公正な取引に関する基準」の遵守徹底⑥クレジットカード決済への対応⑦業務用樽製品管理師制度の立ち上げ⑧会員の増強⑨ブロック会の機能強化⑩研修教育の充実⑪製販3層意見交換会の充実⑫容器統一化を要望――を課題として取り組み、同会が提唱している「共存共栄」と「適者生存」の二つの理念を業界に浸透させ、「新しい秩序を構築させていく」とした。

 次回は令和2年5月19日に福岡県で開催することも決まった。