奄美黒糖焼酎の町田酒造 食肉加工社と業務提携

2019年05月29日

 【鹿児島】「全国で奄美群島でしか製造が認められていない黒糖焼酎の中で他社に先駆け減圧蒸留製法にチャレンジした町田酒造の杜氏・蔵人の技とスピリット、世界的にも認められた黒糖焼酎と、ドイツフライッシャーマイスターを有する山野井進治の極みの技とチャレンジスピリットが運命的に出会った逸品」。業務提携の産物を、そう表現した。

 町田酒造・山野井の今回の提携は株式の持合いなど資本移動は伴わないもの。山野井は食肉加工商品を製造する際の調味料の一部に奄美黒糖焼酎「里の曙」を使用し、当該商品を今夏中元期を皮切りに全国の百貨店を中心とする得意先へ販売する。また山野井運営の「山野井本店」(鹿児島市)で“山野井の商品に最も合うお酒のひとつ”として町田酒造の「里の曙ゴールド」「里の曙原酒」などを、町田酒造は通常営業で山野井商品を販売する。さらに両社商品をコラボレーションさせた共通ギフトセットの共同販売にも乗り出す。「営業面における全般的な協力も関係法令に抵触しない範囲内で行う」。

 山野井社長は「食肉文化のなかでアルコールを使う製法があり、ドイツワインで加工した経緯があるが、奄美黒糖焼酎に出合い活用できるとインスピレーションがあった。実際、他の奄美黒糖焼酎よりも多く黒糖を使い減圧蒸留した『里の曙』では甘さ、まろやかさ、特に香りで、これまでの調味料では引き出せなかったものがあり品質が上がった。加熱処理後にも甘さ香りが残る。こんな味が欲しかった。秘伝のタレに他のものを混ぜるのはご法度だがレシピの進化に欠かせないものとなった。誇れる特産品として鹿児島発信を全国へ広げていきたい」と製造面での黒糖焼酎効果を強調した。

 山野井の売上高は約16億円。

 町田酒造の奄美黒糖焼酎売上高は約13億円。出荷量は約8000石。今年3月、ベルリン国際スピリッツコンペティションで「里の曙」が金賞を受賞するなど数々の世界コンペでの賞獲得を通じ、製品への世界評価を高めている。また4月には群島内の酒造所では初「HACCP(ハサップ)認証」を取得した。国内営業面では北海道・東北での販売促進に注力しているところ。今回の業務提携により、酒小売店などへ奄美黒糖焼酎に合うつまみとして新たな商材提案が出来るなど「推進力が加わってくる」とした。展示会等でもPRすることでコラボを最大限生かし「タッグで消費拡大につなげたい」と言葉を重ねた。