三和酒類 iichiko西の星賞、表彰と商品発表会開催

2019年05月15日

 【大分】三和酒類(本社・宇佐市、下田雅彦社長)が焼酎原料大麦ニシノホシの生産者を顕彰する「iichiko西の星賞」の表彰式が4月23日、宇佐市の宇佐ホテルリバーサイドであった。同社は同麦を使い“地産地造”の大分麦焼酎「西の星」を製造販売しており、受賞者の圃場で生産されたニシノホシで造り収穫地を記した“西の星ビンテージ”を毎年発売している。今年は全麹造り「西の星2019上市(かみいち)」受賞者・上市地区「上市集落営農生産組合」(衛藤正比児組合長)、「同 香下(こうした)」同・香下地区「佐藤龍治」(2品ともアルコール度数25%、500㎖小売税抜1000円)。すでに同月19日から出荷している。各2500本の限定で大分・福岡を中心とした百貨店、酒販店等で販売される。

 ニシノホシは平成9年品種登録。同社と県の機関が精麦のしやすさや製麹した麹の溶けやすさなど焼酎醸造に適した品種探索を進めた。試験醸造を経て13年発売されたのが「西の星」だった。

 特に麹づくりに高い適性があり、それぞれの“土地の味”を引き出すことが出来るという。賞創設は17年で今年15回目。生産者への感謝、大麦の生産技術・意欲の向上などを目的としている。

 宇佐市内におけるニシノホシの作付面積は平成30年産で988ha。収量(契約数量)は2300tに上る。今年の西の星賞には56地区の個人や組合がエントリー。一次選抜の原料評価(粒の硬さ・重さ・大きさ・それぞれのばらつき等)で醸造適性が高い4地区に絞り込んだのちビンテージ候補の仕込みを実施。候補酒を対象に、同社社内認定パネリストが利き酒を通じた官能評価で決定した。

 「上市」(作付3・5ha)は3度目の受賞。安心院(あじむ)盆地の南西に位置し、砂土で乾きが良い。日照条件は良く寒暖差が激しい。焼酎の出来栄えは「華やかな香り。すっきりとしたキレのある味わい」。一方「香下」(1・7ha)は2度目の受賞。鳥居橋がかかる川沿いの圃場。粘土・赤土系土壌。東西の山に挟まれ日照時間が短く霜がよく降りる。「フルーティーな香り。爽やかな甘さとなめらかな味わい」。

 香味が異なるためお勧めの飲み方も変わる。同社「語り部の会」によると同じ炭酸割りでも「上市」は焼酎1対炭酸1ですっきりキレが冴える“すっキレ半割り上市”で、「香下」なら2対1でメロンのような香りが引き立つ“メロメロ強割り香下”で、といった具合だ。

 当日は表彰式のほか、30年産ニシノホシの作柄や賞選考についての報告会、飲み比べなどしながら情報交換・懇親を深める発表会があり、生産者をはじめJA・流通関係者ら約80人が出席した。

 同社下田社長は「宇佐は焼酎原料大麦の産地としても存在感を増してきた。我々の酒造りをニシノホシの畑、宇佐の地形、気候風土とセットで理解いただきたいし、よりよく伝える上で益々大事になってくると感じている。これからも地域に根差し地元の皆様に愛される『西の星』でありたい」とあいさつ。宇佐市・是永修治市長は同社の取組を「平野部農業の推進」にもつなげたいとした。大分県北部振興局「農村漁村振興部」亀井伸一郎部長は「六次産業化の推進、地域文化の育成に多大な貢献をしている」と称えた。

 受賞の佐藤さんは「新しい元号を迎える年の受賞で嬉しさもひとしお。品質のさらなるアップ、単収アップを目指し挑戦していきたい」と話した。衛藤さんは「皆さんのお陰。指導員が凄い。これからもしっかり生産していきたい。(西の星ビンテージとなったことは)気持ちいいし自慢。みんなに配りたい」と喜びをあらわにした。