愛知県のセンターと酒造2社 新吟醸酒用酵母開発

2019年01月31日

 【名古屋】あいち産業科学技術総合センター食品工業技術センター(西区)、中埜酒造(半田市)、金虎酒造(株)(北区)などの研究グループは「知の拠点あいち重点研究プロジェクト(2期)」で新しい吟醸酒用酵母を開発し、1月24日記者会見を行った。

 もともと愛知県には純米酒用酵母「FIA1」、吟醸酒用酵母「FIA2」があり、共に香りが穏やかな清酒づくりに適していたが、香りが華やかな吟醸酒用酵母のニーズの高まりを受け、新しい酵母の開発に着手。今回開発された吟醸酒用酵母は、シンクロトロン光(ほぼ光速で直進する電子が電磁石によって進行方向を変えられた際に発生する光(電磁波)。様々な特長を有し、最先端の科学研究や先端技術に用いることができるため「夢の光」とも呼ばれる)を活用した全国初の試みで、酢酸イソアミルを従来酵母の2~3倍生産し、かつ高いアルコール発酵能を有する酵母を育種。試験醸造の結果、フルーティーで香味バランスに優れた大吟醸酒の醸造に成功した。あいち産業科学技術総合センター食品工業技術センターは今後、普及・製品化に向けて県内清酒メーカーに対し技術支援を行っていく。

 実証試験などを担当した事業化リーダー・中埜酒造の担当者は「個性的な香りを持つ酵母で醸す新しい吟醸酒。1年ほどをめどに、新製品を発売したい」と話していた。