岡山県酒造組合 雄町米や地酒の取り組み強化

2018年12月20日

 【岡山】全日空(ANA)が12月から来年5月まで機内・ラウンジで酒食を中心に「中国・四国」を特集する。日本酒は、「岡山県」をはじめとする中四国全9県から73銘柄を選定し、「羽田」「成田」「関西」の3空港国際線ANAラウンジと羽田国内線ラウンジで提供される。
 12月17日(月)、「岡山県酒造組合」(岡山市、利守忠義会長)に商事の担当者が完成したパンフレットを持参し、佐々木崇光専務に手渡した。同県は8種が選ばれた。3年半前には県単位で始まって1巡し、今回の新企画は「中四国」からスタートした。
 政府の「ジャパンブランド」促進で、こうした各業界の地酒に対する取り組みは近年活発化。酒造組合も需要振興策の協力・PRに期待する。
 「岡山県酒造組合」は、人気を高めている酒造好適米「雄町」とその地酒の普及も積極的に進めている。オマチストなども生んだ「雄町サミット」は東京で始まり、今年10回目。同米を使う県外の酒蔵も年々増えて定着し、岡山でも名称を変えながら6回目を数える。
 「雄町」は、「山田錦」や「五百万石」を生んだ酒米のルーツでもあり、江戸時代に篤農家の岸本甚造氏が現・鳥取の伯耆大山(ほうきだいせん)から「二本草」として持ち帰り、県内の「高島」(現・岡山市中区)で栽培育成したのが始まりとされる。
 産地は「赤磐郡」(現・赤磐市)が有名だが、時代とともに南部から北部へと県内全域に広がったものの、戦前の飯米(アケボノ)などの増加で激減して「幻の酒米」に。紆余曲折を経て、昭和40年代に現酒造組合会長の利守酒造(但馬・田村豊和杜氏)が復活させ、平成に入って再度増えた。「雄町」には、生産農家や酒造メーカーの思いがあり、今後も大きな広がりが期待される。
 「岡山」は、桃やブドウなど果実王国でもあり、同県酒造組合は12年前にリキュールの研究会なども発足して推進。高品質化で製造技術が重要性を増すなか、杜氏不足の解消に向け、現在は「備中杜氏組合」(原会長、26名)の支援に取り組んでいる。
 県品評会を数年前に春から秋に移したことで、「全国新酒鑑評会」に向けて同杜氏組合の「自醸酒品評会」は、大きな意味をもつ。県内の酒蔵が42蔵(実製造30蔵)で、会員を19名から現行に増やすなど取り組んできた。
 今年は、3月29日(金)に「自醸酒品評会」(岡山コンベンションセンター、9時~13時審査、13時半~公開、16時半~表彰式)の開催を計画。大吟醸を中心に50点(各2点)が集まり、品質を競う予定だ。