水口酒造 オレンジエールが県知事賞

2018年12月19日

 【愛媛】清酒「仁喜多津」や「道後ビール」、焼酎、食品など幅広く総合化を進め、道後地区で地歩を固める「水口酒造」(松山市、水口義継社長)。12月13日(木)には、松山商工会議所が新製品発掘や販路開拓などモノ作りを応援する第14回「松山ブランド新製品コンテストNEXT・ONE(ネクストワン)」の表彰式があり、加工食品部門で金賞「知事賞」の栄誉に輝いた。

 今回同賞を受賞したのは、今年1月から発売し、ヒットしている発泡酒「道後オレンジ・エール」で、「紅まどんな」「清見」「カラマンダリン」「ブラッドオレンジ」と県産みかん・柑橘系を収穫時期ごとに変えるのも特徴だ。

 「道後ビール」をベースにしているが、果汁20%前後と豊富なため、みなし5%にならず発泡酒で販売。女性をターゲットに狙いがあたり、「受賞するとシール貼付もでき、商工会議所などが東京・大阪など各地の展示会に出展して応援してくれる」と地元の大きな協力に感謝する。

 「水口酒造」は、卓越した技術力に加え、豊富なアイデアを素早く実現化する企画対応力や販売力に優れ、定評がある。同コンテストの「知事賞」は、第6回道後焼酎「振鷺閣」、第7回「道後サイダー飲み比べセット」と過去にも受賞歴があるほか、工業製品部門でも「市長賞」に第4回「道後美肌シリーズ」が輝くなど高い評価をうけている。

 今年の需要動向については、7月豪雨などで全般的に観光客や自粛の影響による中元贈答品の目減り、県境のJR被害などでダメージをうけたものの、昨年9月に道後温泉・別館の地でオープンした立ち飲み「スタンディングバー」は軌道に乗り始め、来年1月から7年計画で進む明治27年築の本館改修工事でもニーズを的確に捉える。

 さらに中長期的に松山市は、北条地区など自治体の編入拡大で農産物の特産品を製品開発に使えるケースが増えたことなど加工食品部門では明るい材料が見え始めている。

 来年は、粕取や麦の免許だけだった焼酎に10月取得した「コメ焼酎」が加わったことで「春ぐらいまでには新製品を出したい」(水口社長)と計画。加えて、コメ焼酎の良い香りを生かして7月頃には国内外で人気を高めている新市場にも参入を予定。行政や関連企業の協力もうけながらメドを立てる。

 「デパートなどにも可能な限りいく」と積極的な同社。来年は、輸出にも力を注ぎ、オファーがある商社と手堅く契約。今でも取引が多い「台湾」は、松山空港の定期便就航で一段と期待されるほか、「東南アジア」「中国」など大規模市場にも目を向ける構えだ。