JA全農ひろしま 新ブランド米で酒関連に寄付

2018年03月02日

 【広島】「美しい自然を次世代に残す取り組みを支援する」――。JA全農ひろしま(広島県広島市、水永祐治県本部長)は、県中央部に位置する有数の穀倉地帯、同県東広島市「賀茂台地」で栽培されたコシヒカリの新ブランド米「賀茂八十八(やそはち)」(5㎏税込2580円)を1月23日(火)から発売している。

 節減対象農薬を県基準から2割以上削減した「環境保全米」でもあり、日本三大銘醸地として古くから卓越した技術と旨い日本酒で定評がある西条の酒造各社を中心に環境保全活動に力を入れる「西条・山と水の環境機構」(前垣壽男理事長)に売上一部を協賛金として拠出するという。

 「西条の酒造施設群」は、昨年12月8日にイコモスから「日本の20世紀遺産20選」に指定されるなど環境地区としても注目を集めており、今回2月16日(金)に東広島市内で開かれた「発売記念式」でも大きくPRされた。

 新ブランド米「賀茂八十八」の由来は、「酒都」といわれる東広島市・西条の「賀茂台地」で育てられ、コメ生産が春先の苗作りから田おこし(代かき)、田植え、雑草や病害虫の駆除、収穫まで幾重もの手間(八十八)がかかることから、名づけられた。

 このため「米袋デザイン」も日本酒の「胴張り」ラベルをイメージし、中央に東広島市を一望できて豊富な清流の水を供給する「龍王山」の山影を配置。書は広島のデザイナーで鏝絵(こてえ)作家の木原実行氏が執筆するなど「酒都西条」を連想させる。

 2月16日(金)にグランラセーレ東広島で大々的に開かれた「発売記念式」では「試食会」も実施。新製品は粘りと甘み、弾力に優れるなど美味でご飯に最適。「JA広島中央」(河野孝行組合長)の7法人(ファーム西田口、下三永、かみみなが、ええのう末釜、いなき、よしかわ、ファームかみありだ)が丹精込めて生産に励んだ。

 「式典」では、「JA全農ひろしま」の吉本洋二副本部長をはじめ、河野組合長、前垣理事長らが次々とあいさつ。今回一部売上の協賛をうける「西条・山と水の環境機構」は、世界的に有名な英国キャラクター「ピーターラビット」の女性作者、故ビアトリクス・ポターさんを中心に「湖水地方」の環境保全で先がけとなったナショナルトラスト運動に共感し、その理念で2001年に設立。

 同機構の発案者となった、運営委員長をつとめる「広島大学」名誉教授の中越信和氏が「活動発表」をしたほか、「JA全農ひろしま」の池田道晴課長の商品説明や、授業をうける学生として広大大学院生・岡本直大さんの発表もあった。

 折しも今年2018年は、海外の映画「ピーターラビット」(英豪米合作)が日本でも5月公開予定で、酒造り・日本酒とお米・コメ作り、山と水・環境保全の著名児童文学が不思議な縁でつながり、まるで飛び跳ねるように時代を駆け回り始めた。