「現代の名工」に焼酎杜氏の安田宣久さん

2017年11月14日

 【鹿児島】厚生労働省「現代の名工」(卓越した技能者)に現役焼酎杜氏の安田宣久さん(やすだ・のぶひさ=65、国分酒造㈱<鹿児島県霧島市国分川原1750>杜氏)が選ばれた。受章は鹿児島県の杜氏では3人目。一番若い。厚生労働省が選び11月6日東京で表彰式があった。今年は149人が受章。酒造り職人では全国で2人、焼酎と清酒の杜氏が栄に浴した。

 芋麹・芋焼酎開発の先駆者として有名。受章理由が以下発表された。「芋焼酎製造に長年従事し培った技能を有し、特に製麹技能に卓越している。蒸した芋に直接種麹を付けて発酵させる固体発酵による芋麹の製法を確立し、芋麹による芋100%焼酎を開発したほか、製麹に三昼夜かける『老麹(ひねこうじ)』と二次醪の長期醗酵という大正時代の手法を再現した芋焼酎の開発等、既存の製法に囚われない芋焼酎の開発に取り組んでいる。また、研究会で芋麹に関する技能の伝承に取り組むなど、後進の指導・育成に貢献している」。

 本格芋焼酎「安田」平成27年度は驚異のシトロネロール値2265ppb。シトロネロールは芋焼酎に含まれるモノテルペンアルコールの代表的成分の一つ。ライチ様の香りで飲み手を魅了する。次代を拓いた志士たちが酌み交わしたかもしれない。時をさかのぼり再現を試みた芋焼酎「維新ノ一滴」の商品化など、焼酎造りが楽しくてしょうがない異才だ。