サッポロビールは、自社ぶどう栽培会社であるサッポロ安曇野池田ヴィンヤードにＡＩ（人工知能）を導入する。
同社は、中期経営計画で「ワイン事業をビールに次ぐ第二の柱にする」という目標を掲げて取り組んでいる。また、日本ワインの需要拡大に対応すべく、長野県に「安曇野池田ヴィンヤード（12ha）」「長野古里ぶどう園（３ha）」の２つのぶどう園を保有し、高品質な原料ぶどうの栽培に努めてきた。
その一環として、この度、安曇野池田ヴィンヤードにＡＩを導入し、各種データを活用して体系化された栽培技術を確立することで、さらなるぶどうの品質向上と栽培技術のスピーディーな伝承を目指していく。
具体的には、ぶどう園に設置したセンサーで気象・土壌等の環境情報を収集し、生育状況や品質と合わせてクラウドサーバーで分析し、最適な作業指示をリアルタイムでフィードバックします。このＡＩは農学系の博士を修めた社外の研究者が開発に携わり、科学的な農業技術を用いた栽培を実現する。さらに、現地栽培技術者の知見も組み込める仕様となっており、独自の栽培ノウハウを蓄積し、共有することも可能としている。
また、グランポレールの国際ワインコンクールでの受賞など、国内外から高い評価を得ている安曇野池田ヴィンヤードのぶどう栽培技術の伝承スピードを上げることも導入の目的としている。今後品質を維持・向上しながらぶどう畑を拡大するには、熟練した栽培技術者を増やしていく必要がある。さらには自社ぶどう園のみならず、契約農家にも同システムに蓄積された知見を展開することで、より安心して長期的に供給してもらえるようになることを目指している。
同社は将来的には、ワイン用ぶどう栽培への新規参入を考える人にこの知見を提供し、安定したぶどう栽培に取り組んでもらえるようにすることで、農業の後継者不足対策の一助になるよう貢献していきたいと考えている。