九州豪雨 酒類業界にも甚大な被害

2017年07月12日

 【九州】7月5・6日の豪雨で、鹿児島・宮崎以外、九州5県(福岡・佐賀・長崎・熊本・大分)で避難勧告等が発令されるなか、福岡県朝倉市の㈱篠崎と大分県日田市の㈱井上酒造の甚大被害が明らかになった。浸水はもとより、断水や停電も。卸業者は該当地域に無く被害は報告されていない。小売業者については被害把握に至っていない。

 「線状降水帯」が両地域に停滞したことで被害を深めた。

 福岡県酒造組合員は69者(うち清酒焼酎兼業26、清酒専業34、焼酎専業9)。篠崎(篠崎博之社長、朝倉市比良松)は清酒「国菊(くにぎく)」、甘酒「国菊あまざけ」、長期熟成麦焼酎「千年の眠り」などを製造販売する創業江戸後期の老舗蔵元。日本酒ブランド「比良松(ひらまつ)」でも知られる。製造場や事務所が1m強の浸水被害に見舞われたという。製造や商品出荷への影響は免れない状況だ。現段階で県内の他組合員からの被害報告はない。糸島の山田錦をはじめ酒米産地でもあるが、今のところ生産者サイドから栽培に支障が出るとの報告は上がってきていない。

 大分県酒造組合員の製造場41場(うち清酒・焼酎兼業26場、清酒専業7場、焼酎専業8場)。井上酒造(井上睦子社長、日田市大字大肥)の創業は文化元(1804)年で県内最古。代表銘柄は日本酒「●の井(かくのい)」、大分むぎ焼酎「百助(ももすけ)」。6月27日、蔵のそばの田圃で酒造好適米「若水(わかみず)」の田植えをしたばかりだった=関連記事2面=。清酒製造場が1m弱の浸水被害。蔵人でもある井上百合専務によると、破損した商品など同社所有の諸物が泥に混ざり合って収拾がつかない状態。7日からは社員総出で、まずは社外に流出の諸物を片付け近隣に迷惑をかけないようにしたいという。資材倉庫も浸水でダンボールや化粧箱が使えず困っている。ダメだと思った「田圃の苗は大丈夫」だった。

 雨水や河川決壊による浸水は土砂も運び復旧は容易ではない。商品出荷への支障も必至で売上減など経営への影響は甚大だ。

 50年に一度の大雨となった長崎県・壱岐島(壱岐市)。島内に米麹を使う本格麦焼酎「壱岐焼酎」を製造する蔵元が7社ある。被害は無かった。

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