日酒販68期決算 新規帳合獲得や物流機能向上で増収増益

2017年07月12日

 【東京】日本酒類販売は6月30日、第68期(平成29年3月期)の決算および事業報告会見を開いた。第68期は人件費や物流費の高騰がさらに加速したほか、市場の縮小、競争激化など厳しい状況が続いているものの、新規帳合の獲得や既存業態への深耕が寄与し、連結売上高は5514億3100万円(前期比1・5%増)となり、経常利益は42億3800万円(2・9%増)、当期純利益は41億400万円(0・1%増)で増収増益となった。

 高騰が続く物流費については、「物流の共同化、物流拠点の最適化、物流インフラの機能向上に努め、環境への配慮、顧客に信頼される物流制度の向上に推進するとともに、物流全般の効率化や物流拠点の統廃合などによる物流コストの抑制に注力した」(田中正昭社長)と説明。松川隆志会長は、「物流費の高騰は中長期的に続くものと認識している。中間流通にとって物流費は大きなファクターなので、今後は、6月からスタートした改正酒税法の枠組みを尊重しつつ、物流費の上昇分、コストアップ分については、適正に転嫁していく」との姿勢を明らかにした。

 一方、利益の改善については、「帳合の変更などで、結果として利益率の低いものが減少し、利益率の高いものが増加するという結果となり、粗利は0・1ポイント改善し増収増益につながった」(松川会長)と説明。改正酒税法への取り組みについては、「今期以降、しっかりと取り組んでいく。ある意味でここからスタートとなる。初年度しっかりと取り組んでいく」(同)と述べた。

 同社68期は、営業本部に営業支援部、業務事業部、流通業務部を新設し、営業活動の支援体制を強化、全社の売掛金、買掛金、未収入金管理業務と流通各本部の受発注業務と営業事務を集約したほか、東日本事務センター、西日本事務センターを新設し、受発注業務を2カ所に集約した。また、流通第五本部を新設したほか、東東京支店を中央支店に統合、横浜支店と相模原支店を神奈川支店に、八王子支店と立川支店を西東京支店として統合し開設した。また四日市支店に松坂支店を統合し三重支店に、高岡支店を富山市内に移転し富山支店として開設した。さらに、東北支社宮城野物流センターを同支社卸町物流センターに統合、仙台物流センターに変更し、センター運営を効率化。岩手営業所および盛岡物流センターを盛岡市内に移転し効率化を図った。

 同期の種目別売上高(前年比)は次のとおり。

 ▽清酒=321億4100万円(1・9%減)▽連続式蒸留焼酎=258億1600万円(3・9%減)▽単式蒸留焼酎=996億4200万円(0・6%増)▽洋酒計=1056億3400万円(7%増)▽ビール計=1559億5400万円(6・6%減)――の状況で着地した。

 単式蒸留焼酎の原料別の対前年比は▽麦=99・2%▽芋=103・1%▽コメ=100・7%▽ソバ=102%▽黒糖=100・2%▽泡盛=101・4%――となるが、販売シェアは麦と芋のみで95%に達する。

 なお、同社の輸出金額は6億2000万円となった。