林龍平酒造場 清酒「さきやま」の仕込みに使うコメの田植えを開催

2017年07月03日

 【福岡】天保8(1837)年創業。京築地区唯一の造り酒屋、林龍平酒造場(清酒「九州菊(くすぎく)」醸造元、林龍平代表=京都郡みやこ町犀川崎山)のすぐ近くの田圃で6月18日、蔵元が清酒「さきやま」の仕込みに使うコメの田植えが行われた。

 稲刈り、新酒の会と年間を通じ清酒に係る米作り酒造りの一端に触れ、さらに蔵元がある土地の恵みを感じる「遊友会(ゆうゆうかい)」企画の一環。同会主宰は蔵元の親戚が営む九州菊専売「林田酒店」(北九州市小倉北区、林田法恵代表)。法恵さんの夫、正義さんの地産地消を目指し地米で酒を造ろうとの想いが始まりで、多くのボランティアの支えで今年20年目を迎えた。

 蔵元林代表のいとこにあたる同店林田直子さんは、食育にも繋がる体験を子育て世帯にアピール。蔵元がある京築エリアから離れた小倉で九州菊ファンの輪を広げている。「孫が作ったコメで造ったお酒を飲みたいお爺さんも多い」とも。

 今回の田植えには外国人を含め約90人が参加。幼子を含め子供が40人もいて、裸足で水が張られた田圃に入ると、その感触に大騒ぎ。2反5畝の田圃のうち3畝ほどに苗を手植えする体験は1時間程度に過ぎないが、日常にはない濃密なものだ。

 小学生と幼稚園児を伴う北九州市在住、高野志保さん(41)は3回目の参加。「田植え体験が出来るところは無く、とても貴重。酒蔵に入りお酒がどのように造られていくのかを学ぶことも出来る。自分たちが作るものが、どうなっていくのか見ていくことはとても感動的。親には飲む楽しみがあるし」と語る。「初めてで楽しみ」と田圃に入った仏ボルドー出身のブルーノ・ロシェタムスさん(28)。絡みつく田圃の土に戸惑うことも日本を知る、印象深い出来事になったようだ。

 米作り酒造りの会「遊友会」は年会費制。年3回の行事、田植え・稲刈り・新酒を楽しむ会に参加(費用別途)でき、犀川の新米や会オリジナル「さきやま」が頒布される。田植えに合わせバーベキューや潮干狩り、稲刈りの際には旬の果物狩り、新酒はジャズと共に。毎回愉しさ増幅の工夫が九州菊ファンのボランティアで施される。長く続くのは「お酒が人と人をつなぐ」(林田法恵さん)ことによるのかもしれない。酒縁の泉となる酒屋。その橋渡し役はかけがえのないものだ。

 英語堪能で蔵元の輸出開拓でも奔走する林田直子さん。海外展開の一環として中国人富裕層へ「あなたが作ったコメで造ったお酒、買いませんか」とアプローチ中。田植えや新酒会への参加勧誘で訪日を促したいという。