ミツカングループ 国内好調も為替影響し欧米で苦戦

2017年06月15日

 【東京】ミツカングループは6月5日、千代田区の丸ビルで記者会見を開き2016年度の業績発表を行った。それによると、同社の2016年度(2016年3月~2017年2月)の売上高は2334億円で前年度に比べ6・1%減少、経常利益は140億円で193・9%の大幅増加、償却前営業利益(EBITDA)は349億円で2%の増加となった。

 エリア業績の内訳は▽日本+アジア事業売上高=1129億円で前期比1・9%増▽北米事業売上高=1055億円で10・8%減▽欧州事業売上高=149億円で23・4%減――となった。

 国内セグメント別業績は▽食酢=222億円で前期比11・1%増▽ぽん酢=148億円で2・3%増▽つゆ・鍋つゆ=161億円で2・7%増▽納豆=222億円で0・5%減――となり、家庭用売上高は合計867億円の2・7%増で着地した。業務用売上高は245億円で0・4%の減少となった。

 業績の説明を行ったミツカンホールディングスの専務取締役兼グループCOOの結城幸一氏は売上高の減少について「国内事業の家庭用食酢やぽん酢・鍋つゆが成長したものの、北米事業、欧州事業の為替変動の影響が大きく、前年を下回った」とし、「為替影響が約161億にのぼり、これを除くと前年並みでの着地となる」と語った。経常利益の好調は「本業での成長拡大に加え、国内外でのデリバティブ取引の影響が大きい」と説明した。

 日本・アジア事業は前年比約1%減少したものの、食酢セグメントは2年連続で2ケタ成長となった。ミツカンホールディングス取締役の田中力氏は「当社が従来より発信している食酢の健康機能が市場に受け入れられていると感じている。今後も拡売に注力し定着を図りたい」と述べた。

 北米事業については前期比11%減となったが、為替の影響を除くと前年並みでの着地。パスタソース事業に注力し、大きくざっくりと野菜を切った「ラスティックカット」シリーズを投入する。また昨年発売のベルトーリブランドにおけるオーガニックシリーズのアイテム拡充や、米国市場での「リアル&フレッシュ」トレンドにも対応し、ナチュラル志向商品も企画する。

 欧州事業は前期比約24%減だが、現地通貨ベースでみると約3%の減少となった。好調のサーソンズモルトビネガー、日本食の業務用市場に今年度も注力する。欧州での日本食市場の成長に応えるため、業務用食酢の現地醸造設備を増強する。

 グローバル展開を推し進める中で、今後の施策として①企業理念を個人の行動に落とす仕組み②中長期的な業績向上・成長を促す仕組み③健全な経営のための意思決定・説明・監査の仕組み――の3つの仕組みを骨格としてコーポレートガバナンスの構築に取り組む。その上で各エリアに権限を委譲し、迅速な意思決定を行うことも発表され「ミツカンらしい経営による永続的な成長」を実現していく。