キリン 熊本県「再興プロジェクト」へ1000万円贈呈

2017年06月14日

 【熊本】キリン(磯崎功典社長)が6月1日、熊本市の熊本県庁で県に対し「くまもと農産物等トータルブランド再興プロジェクト」を支援する助成金1000万円を贈呈した。「くまもとの赤」の認知度向上を図るとともに、県産農産物などの付加価値向上や多様な流通ルートの構築による熊本ブランドの定着に取り組み“競争力ある農林水産業の実現”を共に目指す。

 同社が昨年12月、熊本地震からの創造的復興に向け熊本県(蒲島郁夫知事)、公益財団法人日本財団(笹川陽平会長)と締結した包括支援協定「『復興応援 キリン絆プロジェクト』熊本支援」に基づく活動の一環。県の復旧・復興プランとも連携し行政・民間企業・公益財団法人が一体となり強みを掛け合わせ補完し合うことで「より包括的かつきめ細やかな支援」が期待されている。支援金は日本財団に設置した、キリングループからの寄付による基金から拠出されている。

 同社の絆プロジェクトは3つの幹からなり、今回は食産業復興支援。地震に伴う農林水産関係被害は推計で約1777億円に上る。農産物等において熊本県は全国トップクラスの品目が多数あるが「くまもと自体の統一的なイメージは薄かった」(県農林水産部)。そこで平成24年度から取り組んだのが火の国くまもとの“赤”を統一イメージとして全国に発信することだった。「くまもとの赤」戦略だ。メッセージは“くまもとには「おいしい」赤がある”。真っ赤なトマトやあか牛、真鯛、赤なす、すいか、いちご、クルマエビなどをくまもとの赤ブランドとして、県内外でのレストランフェアなどを通じ全国へ発信してきたが、地震で道半ばとなった。

 今後、助成金は首都圏や関西圏でのフェアや見本市などの実施、販促資材の作成などに活用される。常に消費者と接するキリン社のノウハウ・知見へ期待の声が上がった。キリンビール九州統括本部・松浦泰彦本部長は「ご活用いただき日本中を赤で染めてください」とのエールを添え支援助成金を贈呈。同社熊本支社・麻生芳彦支社長は「熊本の誇りが詰まったビールです」と「一番搾り『熊本に乾杯』」を贈った。

 松浦本部長は「熊本復興の取組は確実に前進している。とても明るく元気で敬意を表したい。熊本が誇る農産物の復興の基調となるのが赤。キリンのラガーの基調も、コーポレートアイデンティティも赤で、まさに運命と思う深い絆を感じる。世界一の九州をつくろう。九州、熊本の元気、復興で一人でも多くの人の笑顔をつくっていきたい」とエールを重ねた。日本財団ソーシャルイノベーション本部・荻上健太郎上席チームリーダーは「絆プロジェクトの意味は、新しいチャレンジをしていこうということ。熊本の赤をブランドとして創造的に強くしていくには、お客様第一。常にお客様に向き合っているキリンとの座組は復興の大きな力になっていく」と語った。

 県農林水産部・濱田義之部長は復興への決意で応えた。「熊本県民は強く明るい。むしろバネにして挑戦している。全く悲観していない。我々は多くの支援に勇気づけられた。寄り添っていただいたことが、どれほど心強かったか。農林水産業が弱いのが出口。流通、マーケット、消費者へと渡るときのミスマッチが永遠の課題。出口、マーケットに詳しいキリングループさんの知見により一段と飛躍できる足掛かりをいただけるのが一番うれしい」。

 6月9・10日には熊本城下にある「熊本城 城彩苑」(熊本市中央区二の丸)で“一番搾り 熊本に乾杯in熊本城 城彩苑~よか仲間とうまかもん~”が催される。「47都道府県の一番搾り」企画の一環として同月6日発売の「一番搾り『熊本に乾杯』」を楽しむイベント。苑内店舗が新商品に合うよう開発した“熊本城下おつまみ”を販売する。

 主催はキリンビール熊本支社(麻生芳彦支社長)。熊本市が後援、熊本城 城彩苑の協力。設置の「一番搾り『熊本に乾杯』」パネルと一緒に撮影した写真をSNSにアップした人、20歳以上にもれなく同品350ml1缶をプレゼントする。

 「熊本に乾杯」(同社福岡工場製造)は「地元の誇りをおいしさに変えてをスローガンに、地元のことを熊本の皆様と語り合って生まれた」、熊本県産米を使用した、火の国の“赤”をイメージした熊本らしい特別な一番搾り。濃い味付けのうまかもんと相性のいい、すっきりとキレのある味わいを一番搾り製法で際立たせた。