宝酒造 2020年までに連結売上高2900億円以上目指す

2017年06月06日

 【東京】宝酒造は5月26日、酒類食品記者を集めた懇親会を開き、2017年度3月期の業績発表と5月9日に策定した「宝グループ中期経営計画2019」について説明した。

 宝ホールディングス(連結)の売上高は2341億9300万円(前年比3・9%増)となり、営業利益は135億5100万円(同16%増)、当期純利益は84億8000万円(同20・2%増)と好調に推移した。うち宝酒造グループは、売上高2011億7100万円(同4・8%増)、営業利益97億5500万円(同16%増)、当期純利益69億2700万円(同26・5%増)となり、いずれも大きく伸張した。

 主な種類の実績は、▽焼酎=580億100万円(2・3%減)▽清酒=248億2200万円(0・3%増)▽ソフトアルコール飲料=307億9600万円(10・7%増)▽その他酒類=141億1600万円(0・4%減)▽原料用アルコール=77億7100万円(8%増)▽海外日本食材卸=289億3300万円(40%増)――となり、ソフトアルコール飲料、海外日本食材卸事業が全体をけん引した。

 今期は「宝酒造らしいオリジナリティある多くの商品を開発・育成し、ファンを獲得する」とし、「澪」を中心とした清酒に注力するとともに、甲類焼酎の需要活性化に努め、2018年3月期の宝酒造グループは売上高で2・4%増となる1530億円、営業利益は10・4%増となる56億円を目指す。また、海外の日本食材卸事業を分野化し今年7月に設立する宝酒造インターナショナルグループは売上高で67・8%増となる630億円、営業利益は16・2%増となる37億円の達成を目指すとした。

 また、5月9日に策定した中期経営計画2019では、「海外売上高比率をさらに高めるとともに、国内外で抜け、モレのない商品と競争優位性を持った商品を多数持つことで、他社に勝てる分野を数多く築き上げ、どんな環境変化が起ころうとも収益を大きく伸長させることができるバランスのとれた事業基盤を確立する」ことを基本方針とし、2020年までの定量目標を宝グループ連結で売上高2900億円以上、営業利益155億円以上、海外売上高比率33%以上を掲げた。

 今年度の各商品施策は次のとおり。

 【清酒】「澪」は幅広い年代層にユーザーを広げるため、飲用実体験を促す活動を実施する。また「澪」限定品の発売によるブランド鮮度を向上させるほか、情報発信による認知向上を目指す。「天」はニーズに沿った品揃えで消費者の支持を獲得するほか、「豪快」は業務用清酒市場でのブランド拡大を目指す。

 【焼酎】甲類焼酎トップメーカーとしてボトル焼酎を中心に若年層の需要を活性化する。特に「NIPPON」は差異化された味わいを消費者に伝えるため飲用実体験の獲得を推進する。また東京の料飲店を起点にレモンサワーがブームとなっていることから、レモンサワー需要の獲得も目指す。本格焼酎は「一刻者」の品質価値向上と「よかいち」のラインアップを強化する。

 【ソフトアルコール】「焼酎ハイボール」と「タカラcanチューハイ」で辛口市場をけん引し、差異化された果実系のラインアップも強化する。また強烈炭酸シリーズのラインアップを拡大。「ゼロ仕立て」は果実系市場で甘くない独自ポジションを確立する。