小売中央会が総会 「公正な取引に関する基準」に期待感

2017年06月05日

 【東京】全国小売酒販組合中央会は第64回通常総会を開催し、上程の議案を審議、可決した。坂田会長は、6月1日に施行した「公正な取引に関する基準」について、「(量販などの価格が)われわれ一般酒販店と価格と半歩でも近づけば」と期待を示した。また管理者研修は「事業の柱」と位置づけ、内容のより一層の充実を図るとした。

 冒頭、坂田辰久会長は、「年金問題は最終弁済をさせていただき、民事再生計画も終結決定を受けている。これからは本来の活動を行う再スタートとなる。いよいよ6月1日、前松田武会長を先頭に身を削って成立させた改正酒税法、酒類業組合法が施行され、酒類の公正取引のルールを定めた『酒類の公正な取引に関する基準』『酒類販売管理研修』の義務化などの運用が始まる。議員立法として成立した改正法は、立法趣旨を念頭に置いた真の国民の利益を実現する運用をお願いしたいと思う。中央会としても組合員への改正法の周知、研修の実施団体として受講者の受入を行うことが、公益的役割を担う小売酒販組合の取り組みとなる。基準については、製販三層が基準に基づくルールの下、適正転嫁を行い、さらに他の商品とは異なるリベートのルールが求められた結果、量販店、業務用酒販店などで、軒並み高い率で価格が上昇すると聞いている。結果としてわれわれ一般酒販店と価格が半歩でも近づいてくることを期待している。気を引き締めて活動を行いたい。しかし、すでに一般酒販店に対する便乗とも思える値上げについては、行政、政治などに断固として行動をとっていく。販売管理研修は、国税庁と連携し、三月から全国各地で約1000人が受講する予定である。義務化に伴い、講師の質の向上を図り、しっかりと伝えるのはもちろん、受講者を飽きさせない内容にしていきたい。研修受講義務化と併せて、講師に対しても講師講習の定期受講が求められるが、依頼があれば中央会講師の派遣を行い、必要な知識を伝えていきたい。今後、研修制度を組合事業の核とし、組合加入勧奨、地域貢献を行うなど、活発で魅力ある組織を目指したいと思う」と話した。

 民事再生計画、年金問題については、大江橋法律事務所の弁護士から説明があり、平成28年7月4日に民事再生手続きが終結したことがしたことが報告された。なお、全酒協、全生協に求めた返還請求については、平成28年2月5日に最高裁で認めない決定が出されたほか、旧役員、年金委員との訴訟についても一部の旧役員とは和解により解決したが、他の役員1人に7億円の賠償責任を認め、それ以外は請求を認めない判決となり、中央会は控訴せず確定した。また、元事務局長に対する請求については、回収の見込み無しと判断したと説明。最終的な追加弁済は同日までに完了したことも報告した。