業酒連全国大会 基準「脱法行為は許さない」

2017年06月01日

 【東京】全国酒類業務用卸連合会は5月24日、第31回全国大会を都内のホテルで開催した。

 冒頭のあいさつで榎本一二会長は、「免許の自由化による酒類業界のダメージはあまりにも大きく指針に則していない不合理な取引が横行し、そうした取引は現在も続いている。これが続けば酒類業界の明日はない。戦前、戦中、戦後の困難な中、国難の中にも国家財政を担っている職業人としての誇りを下に、全国津々浦々、同一価格で酒類を配布する任にあたっていたが、自由化により小売業者約9万件が転廃業した。その間に台頭した大資本により酒類の売り場は1%の小売業者で60%を掌握するという寡占状態を生んでしまった」と現在の小売業界について述べ、今回の基準の策定については、「新指針のほとんどが法制化され、新指針になかった業務用酒類への理解まで加味された新法の成立は、業酒連が言い続けてきた新しい秩序が支配する時代が到来したと確信した」と評価した。今後、業酒連は、「業務用卸免許の確立に力点を置くことになるが、われわれの責務としてアルコール健康障害の防止、未成年者の飲酒防止を、飲食事業者とともに啓発していくことが重要だと考えている。そのためにも業務用卸免許が必要だ」と述べ、業務用卸免許の確立について訴えていくとした。榎本会長は、「時代は重大な局面を迎えた。英知を結集し業務用酒類業界の発展に努めていく」と結束を強調した。

 業酒連の今年度の事業方針は、①酒類業務用卸免許の確立②「酒類の公正な取引に関する基準」の遵守③酒類販売管理研修の実施④未成年者飲酒防止への取り組み⑤ブロック会の機能強化⑥新取引制度から三層価格制度への移行を要望⑦空容器回収手数料の改定を要望⑧ビール中身売り販売是正⑨研修教育の充実⑩製販三層意見交換会の充実⑪会員の拡大――の11項目で、特に「酒類の公正な取り引きに関する基準」の遵守については、「脱法行為は許さない」という強い意志の下で取り組むよう訴えた。なお、次回の全国大会開催地は北海道で決定した。

 任期満了に伴う役員改選では、榎本会長、佐々木実会長代行は留任した。正副会長は次のとおり。
 ▽会長=榎本一二(東京・榎本)▽会長代行=佐々木実(東京・佐々木)▽副会長=今井功(北海道・いまい)、川瀬成人(福島・川瀬酒販)、中山伸次郎(茨城・中山)、小倉豊(東京・小倉)、中島一郎(愛知・中島屋本店)、佐々木由美子(京都・マルヤマ)、小西光信(広島・住田)、大木伸(福岡・サンノー)