灘酒研究会 創立100周年を記念祝賀会開く

2017年05月17日

 【兵庫】灘酒研究会は4月27日、創立100周年記念講演会と祝賀会を西宮市のノボテル甲子園で開催した。

 同研究会は、1917(大正5)年3月に会員13人で灘五郷の酒造技術の向上と親睦を目的として発足し、今年3月で100周年を迎えた。今回記念事業として、記念講演会と祝賀会を行った。

 代表あいさつに立った藤田雄一代表委員は、「灘酒研究会は諸先輩方の努力で発展し、このたび100周年を迎えることができた。100周年事業として、『灘の酒 用語集』の英語版と日本語版をWEBにて公開しており、『灘酒』を世界にアピールできればと思っている。今回は記念事業として記念講演会と祝賀会を開催する。今後もさらに灘酒研究会を発展していきたい」と感謝の言葉と今後の抱負を語った。

 記念講演会は、①「道筋を開いていただいた人達と灘研の思い出」(剣菱酒造・内田恵介氏)②「醸造研究のこれまでとこれから」(酒類総合研究所理事長・後藤奈美氏)③「灘酒のこれからについて考える」(フリーアナウンサー・和酒コーディネーター・あおい有紀氏)の3講演を行った。

 内田氏は、昭和40年に灘研に入会し今日に至るまで、酒造りに対する姿勢やアドバイスをもらった人々や部会活動の思い出を語り、「今日まで会員として無事に過ごすことができた裏には、心易く出入りを許してもらった近隣の会社の研究室と酒造組合研究室を頻繁に訪ねることで酒造りの知識が養われ、その時々の助言が糧となる環境に恵まれたことだ」と灘研での思い出を振り返った。

 後藤氏は、「醸造研究のこれまでとこれから」について、①原料米の研究②麹菌の研究③清酒酵母と成分の研究――の3つのテーマで講演を行い、「伝統的な産業にも先端の科学技術を導入することで新しい展開が可能となる」と示すとともに、「今後の研究としては、新しい育種法・使える育種法の開発が必要で、酒造りの選択肢を増やす技術を進め、『選んでもらえる日本酒』を目指していきたい」と呼びかけた。

 あおい氏は、灘酒のこれからについて、全国で開催されている日本酒イベントや酒蔵ツーリズムの取り組みなどを紹介し、若い世代やインバウンドなどの可能性を強調し、灘酒をより身近に感じてもらうための考えを説明した。