ビール各社の平成28年動向

2017年01月30日

 ビール各社は、ビール、発泡酒、新ジャンル酒類の平成28年販売動向について次のとおり発表した。

 【アサヒビール】ビール類トータルでは課税出荷数量で204万5960kl、前年比0・4%減となった。

 ビールは、130万6576klで3・2%の減少となった。「スーパードライ」の容器別構成比の約5割を占める「缶」の販売数量は、1-12月累計の前年比が1・6%増となり前年を上回った。

 発泡酒は、19万3581klで4・1%の減少。「スタイルフリー」計の販売数量は累計で0・5%増となった。

 新ジャンルは、54万5803klで8・9%の増加となった。「クリアアサヒ」計の販売数量は累計で11・9%増となった。

 なお、2016年ビール課税出荷数量について、同社の平野伸一代表取締役社長は、「7年連続でトップシェアを維持できたことをうれしく思う。特に新ジャンルは、クオリティアップした『クリアアサヒ』や『同・プライムリッチ』がお客様から支持をいただき、大きく伸長した。足元の消費環境を見ると、今後も『家飲み』における新ジャンルへの期待は続くと捉えている」とコメントした。

 ▽「スーパードライ」計=1億ケースで3・7%減▽「スタイルフリー」計=1336万ケースで0・5%増▽「クリアアサヒ」計=3548万ケースで11・7%増

 【キリンビール】ビール類全体は、169万9183klで5・4%減となった。

 ビールは、64万9241klで1・8%減を示した。「一番搾り」ブランド計は「47都道府県の一番搾り」が寄与し、3年連続のプラスとなった。「47都道府県の一番搾り」は、年初目標から2度上方修正し累計270万ケースを販売した。

 発泡酒は、47万1443klで6・0%減。「淡麗」ブランド計は、「淡麗プラチナダブル」が5・4%増と2年連続でプラス、「淡麗グリーンラベル」も堅調に推移したことで、機能系カテゴリーシェアは40%台を維持した。

 新ジャンルは、57万8499klで8・7%減を示した。

 ▽「一番搾り」計=3500万ケースで0・9%増▽「淡麗」ブランド計=3710万ケースで6・1%減▽「のどごし」ブランド計=4320万ケースで7・1%減

 【サントリーホールディングス】ビール事業の課税出荷数量は、82万5829klで2・3%減となった。同社シェアは年間で過去最高の15・7%を達成した。

 ビールは、29万9735klで4・5%減となった。「ザ・プレミアム・モルツ」が日本人の味覚に合うエールビール「香るエール」の発売や、中元や歳暮といった既存のギフト需要に捉われない“カジュアルギフト”を提案するなどプレミアムビールの新たな需要を創造する積極的なマーケティング活動を展開した。

 新ジャンル酒類は、52万6037klで微増(前年比100・0%)と過去最高の課税出荷数量となった。「金麦」が2806万ケースで2・2%増、「金麦<糖質75%オフ>」が717万ケースで11・0%増とそれぞれ過去最高の販売数量となったことが寄与した。

 【サッポロビール】ビール全体の販売数量は、63万757klで0・5%の減少となった。

 ビールは、38万7781klで4・4%増で、昨年に引き続き前年を上回った。中でも「黒ラベル」計は、単月・累計とも前年を上回り、特に「缶」は累計で約17%増を示し、引き続き好調を示している。「ヱビス」ブランド計も単月・累計とも増加しており、「缶」も累計で約5%のプラスを示した。

 発泡酒は、5万2279klで14・1%減。

 新ジャンルは、19万697klで5・3%減となった。「麦とホップ」ブランド計は前年を上回っている。

 ▽「黒ラベル」計=1663万ケースで2・8%増▽「ヱビス」ブランド計=972万ケースで2・0%増▽「極ZERO」=332万ケースで15・1%減▽「麦とホップ」計=1278万ケースで4・2%増

 【総括】ビール市場全体ではマイナス着地となった昨年だが、各社の動向を見ると、缶ビールの好調、リキュールタイプの新ジャンルの好調など、特に家庭用市場でのプラス傾向が伺える。ビール類が、RTDやワインなど多酒類に飲用層がシフトしているとされる中で、家庭用需要が高まることは「家飲みでのビール類の価値」が再認識されているともいえる。

 これに「樽生」を含めた業務用市場での活性化も加え、ビール類の総市場が今年こそ復活することに期待したい。